研究課題/領域番号 |
20H01538
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
山田 幸三 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40240014)
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研究分担者 |
江島 由裕 大阪経済大学, 経営学部, 教授 (00382359)
藤野 義和 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (10781403)
足代 訓史 専修大学, 経営学部, 教授 (40583258)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2020年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | ファミリービジネス / アントレプレナーシップ / 地域創生 / 社会情緒的資産 / イノベーション / 企業家活動 / ファミリーアントレプレナーシップ / 地場産業 / 老舗企業 |
研究開始時の研究の概要 |
日本社会は、経済の再生と活性化による地域創生が課題であり、企業家活動によって旧来の制度やビジネスシステムを再構築して新たな価値を創造するイノベーションの創出が必要である。地場産業の仕組みや地域の資源を環境に応じて変換し、価値を創造するには地域で長く存続する中小企業の主流であるファミリービジネスの理論を包含した視座から、地域の変革を一過性ではなく持続させる要因を明らかにする必要がある。本研究は、ファミリービジネスの社会情緒的資産が企業家活動にいかに関連し、その企業家活動が地域創生にいかに貢献するかについて、実地調査を基礎に公表資料を併せて内容分析・テキストマイニングで比較分析を試みて考察する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、コロナ禍のため当初の計画を見直して策定した、長野県、大阪府、岡山県における実地調査について実施した。前年に引き続き、基本的に地場産業の集積地に立地する中小ファミリービジネスを対象として、その企業家活動と地域創生にかかわる役割を事業承継における経営ビジョンの内容に着目した分析枠組みをもとに調査した。ファミリービジネスの社会情緒的資産(socioemotional wealth:以下SEW)理論では、日本のファミリービジネスと親和性があると明示されていない要因の識別を念頭において主な先行研究をレビューし、国内の先駆的研究である山田幸三「地域創生と企業家活動:ウィズ・コロナ社会におけるファミリービジネスの役割」『企業家研究』第19号、2022年の議論を深化させた。 実地調査は、長野県、大阪府、岡山県のファミリービジネス20社を経営者への聞き取りや訪問調査し、資料の収集をおこなった。また、ベンチマーク事例として岡山県、石川県、佐賀県のファミリービジネス3社を訪問調査した。調査と関係する大阪企業家ミュージアムを訪問し、調査企業の選定と資料収集に協力していただいた。調査結果はオンラインでの研究会に加え、個別事例の詳細な検討と考察のための対面での研究会を2023年7月21日、10月2日、11月6日、2024年1月26日、2月15日、全員が一堂に会して議論する研究会を2023年7月7日、12月8日、2024年3月8日、対面での研究打ち合わせを2023年12月15日に開催して情報共有と分析に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
欧米のファミリービジネスを基盤とするSEW概念と日本のファミリービジネスの実態との適合度について、長野県、大阪府の地場産業の中小ファミリービジネスを対象として訪問調査し、日本のファミリービジネスの企業家活動を分析する際のSEW理論の汎用性に関する課題について継続的に考察している。併せて100年前後の歴史を持つ長寿企業の中から、ベンチマークケース作成のための候補となりうる企業3社に対して濃密なインタビュー調査を実施し、日本の中小ファミリービジネスが地域密着という土着性を基盤的な要因として事業展開しているため、SEWの概念モデルにおける地域性の明示の欠如が、概念モデルを日本のファミリービジネスに適用に際しての課題であることが明確になって事業承継との関連性で仮説の構築を試みる必要性を確認することができた。しかし、これらの結果をもとに、Discussion Paperの作成と研究会ならびに学会で報告するためには、当初の予定より調査対象企業が少ないため、更に調査を積み重ねて分析を深める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
長野県、大阪府の代表的な地場産業を構成する土着性の強い中小ファミリービジネスを対象にしたインタビュー調査を継続しておこなって訪問調査企業数を増やし、内容分析と比較分析のための対象企業数を量的に確保するとともに、岡山県、石川県、佐賀県の訪問調査企業の中から100年前後の歴史を持つ長寿企業を主な対象としてベンチマークケースを作成し、事例研究として取り纏めをおこなう予定である。さらに、調査対象企業の事業承継の実態や経営者の理念やビジョンに関する公表資料を併せて分析枠組みを整理し、SEW研究のFIBER尺度の活用と地域性を包含したコーディング・ルールによる内容分析、地域の社会的な特徴を踏まえた歴史的なアプローチによる比較分析を試みて研究を進め、研究会、学会報告を行いたい。
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