研究課題/領域番号 |
20H01566
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上村 泰裕 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (70334266)
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研究分担者 |
福井 康貴 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20712839)
下平 好博 明星大学, 人文学部, 教授 (40235685)
白波瀬 達也 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (40612924)
仲 修平 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (60732401)
竹内 麻貴 国立社会保障・人口問題研究所, 国際関係部, 第2室長 (70802106)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | インフォーマル雇用 / 社会政策 / デジタル経済 / 福祉国家 |
研究開始時の研究の概要 |
デジタル経済の到来とともに雇用が再びインフォーマル化しつつあると言われる状況をふまえて、仕事と福祉の結び直しに向けた社会政策の規範をいかに構想できるか。デジタル経済の到来は20世紀型の福祉国家が前提としていた仕事と福祉の結びつきを切り離す可能性があり、その徴候はすでに新たなインフォーマル雇用として表われている。本研究では、福祉社会学・家族社会学・産業社会学・経済社会学・社会階層論を専門とする研究者が協働し、理論と調査、歴史比較、国際比較、政策分析を統合する形でインフォーマル雇用の研究に取り組む。現実の追認に終始することなく、仕事と福祉の未来に関する能動的展望を獲得することをめざす。
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研究実績の概要 |
デジタル経済の到来とともに雇用が再びインフォーマル化しつつあると言われる状況をふまえて、仕事と福祉の結び直しに向けた社会政策の規範をいかに構想できるか。本研究はこの問いに答えようとするものである。デジタル経済の到来は20世紀型の福祉国家が前提としていた仕事と福祉の結びつきを切り離す可能性があり、その徴候はすでに新たなインフォーマル雇用として表われている。本研究では、福祉社会学・家族社会学・産業社会学・経済社会学・社会階層論を専門とする研究者が協働し、理論と調査、歴史比較、国際比較、政策分析を統合する形でインフォーマル雇用の研究に取り組んでいる。 本年度もコロナ禍の影響で現地調査は実施できなかったが、昨年度に引き続き定期的にオンライン研究会を開催し、充実した討論を行なった。さらに、2023年2月には「第二回自営業者・フリーランスの働き方と生活に関する全国調査」(サンプルサイズ:自営業5,800,正規雇用1,100,非正規雇用1,100)を実施した。 本年度の研究実績として特筆すべきは、台湾・香港・インドの研究者との交流を通じて、国際比較から見たインフォーマル雇用の多面性への理解を深めたことである。日本と最も対照的なインドについて紹介しよう。日本ではフォーマル雇用を中心としつつ新たなインフォーマル雇用の登場が注目されているが、インドでは事情が異なる。もともとインフォーマル経済の存在が大きく、例えば西ベンガル州の地方都市クリシュナナガルの路地裏では、同じ衣料品店でもフォーマルな小売店とインフォーマルな露店が向き合って商売している。さらに、バンガロールのフードデリバリーではウーバーイーツに似たプラットフォームが使われているが、その担い手は日本とは異なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)以下の4回の研究会を開催した。メンバーに加えて香港と台湾の研究者を招き、それぞれの立場から提示されたインフォーマル雇用を捉える視点について、活発な討論を行なった。第6回研究会(2021年5月8日、高橋康二「労働に関する法知識についての調査研究レビュー」、仲修平「ウェブ調査の結果続報」)、第7回研究会(2021年8月12日、歐陽達初(香港・嶺南大学)Navigation without protection?: Gig workers' views on employment relations and social security in Hong Kong)、第8回研究会(2021年10月30日、鈴木恭子 Workers with Less Social Protection and Their Responses to COVID-19 Crisis in Japan、葉崇揚(台湾・東呉大学)Informality within Flexibility: Social Protection and Non-regular Workers in Taiwan)、第9回研究会(2022年1月22日、上村泰裕「働くことの意味と保護――持続可能なディーセントワークの構想」)。
2)第二回ウェブ調査を行なった。調査は2023年2月に、楽天インサイト株式会社に登録している25~69歳の男女モニター(対象者は20,000人。回収したサンプルは自営業5,800,正規雇用1,100,非正規雇用1,100)に対して実施した。
3)2022年3月3日にオンラインで日印セミナーを開催した。本研究課題のメンバーが中心となり、日本学術振興会の二国間交流事業として、バンガロールのインド国立法科大学のチームと研究交流を行なうことができた。参加者は、日印比較から得られる示唆が大きいことを学んだ。また、2023年3月6~15日に研究代表者の上村が台湾を訪問し、次年度の台湾でのウェブ調査の打ち合わせを行なうとともに、台湾におけるインフォーマル雇用について専門家や実務家からの聞き取りを行なった。
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今後の研究の推進方策 |
二度にわたるウェブ調査の成果をふまえて、台湾でもウェブ調査を実施する。そのほか、台湾とインドにおける現地調査の可能性を探る。メンバー各自の研究を進めるとともに、成果の取りまとめに向けた擦り合わせを行なう。
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