研究課題/領域番号 |
20H01570
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
家中 茂 鳥取大学, 地域学部, 特任教授 (50341673)
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研究分担者 |
村田 周祐 鳥取大学, 地域学部, 教授 (00634221)
牧野 厚史 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (10359268)
藤村 美穂 佐賀大学, 農学部, 教授 (60301355)
平井 勇介 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (60757524)
山室 敦嗣 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 教授 (90352286)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 生産のある生活空間 / 経験される自然 / 生業景観 / ボランタリーな生活組織 / 小規模共創技術 / コモンズ / 生活環境主義 / 小規模多機能技術 / 生業生活互助組織 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、人が働きかけることによって生まれる自然の豊かさと、その自然の享受による生活の豊かさの実現という関心にもとづき、人と自然の関係性の現れとしての「生産」を捉え直し、生活と結びついた新たな生産概念を提示する。 現代の自然環境問題の根底には、人と自然の関係の貧困化や人々の営みと自然との疎遠化という課題が見出せる。 そこで、農山漁村のフィールド調査を通じて「自然の新しい生かし方を指向する」人々の活動を「経験される自然」「小規模多機能技術」「ローカルルール」「生業生活互助組織」「生業景観」という5つの視点から考察し、「生産のある生活空間」を創出するための分析枠組を構築する。
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルス蔓延にあたり、感染防止のために、対面による研究会は実施できなかったものの、オンラインを活用して研究会及び相互の研究上の知見の共有に努めた。研究代表者及び分担者の各自の問題関心の展開は次の通りである。 家中は、沖縄県竹富島における地域自然資産計画にもとづく2次的自然の保全の取り組みについて、また、鹿児島県種子島における伝統的な黒糖生産の継承について事例調査を行い、これらの取り組みがその島の営みなかでどのような歴史的な意味をもつのかという問題関心から、分析枠組の構築に取り組んだ。村田は、千葉県鴨川における定置網漁業の事例調査を続け、そこにみられる「自然を糧とする営み」を捉える分析枠組の構築に取り組んだ。牧野は、これまでの各地における事例調査にもとづき、「水利用」をキーワードとして設定し、そこから人と自然の関係とその現代的な変容について捉える分析枠組の構築に取り組んだ。藤村は、これまでの農山村地域の事例調査に加えて、佐賀県の有明海の干潟における海苔養殖について調査を進め、干潟生態系の人為的影響による変化と、それに相互作用的に対応する生業の変化に注目し、動的な人ー自然関係を捉える分析枠組の構築に取り組んだ。平井は、三重県桑名市において、河口堰の建設によって大きく改変された河口域における漁業(ハマグリ漁)について事例調査を継続し、大規模に改変された環境への生業を通しての人々の対応に注目することから、レジリエンスや回復をキーワードにして分析枠組の構築に取り組んだ。山室は、兵庫県豊岡市において長年にわたり進めてきた「コウノトリの野生復帰」の取り組みが、当該地域の村落においてどのように受容されつつ、その一方で、村落の維持のために役立てられているのか、そこで生まれている村落の土地保全の創造性について考察するなかで、分析枠組の構築に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス蔓延にあたり、感染防止のために対面によるヒアリング調査が実施できず、そのため繰越手続きをとったものの、調査の実施及び蓄積において当初計画より遅れたために、その調査データをもとに、本研究プロジェクトの分析枠組の理論化までには十分に至っていない。 今後、新たな分析組の構築にむけて、引き続き理論的検討を深めていくことにする。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、新型コロナウイルスの感染状況も落ち着くことを見越し、各自のフィールド調査を進めることにする。また、対面による研究会を開催し、フィールド調査の結果から、理論的考察に向かうことにする。 環境社会学における新たな分析枠組を構築するうえで、各自のフィールド調査の知見を持ち寄り、キーワードを設定する。そのとき当初計画において仮説的に設定したキーワードとの違いに注目し、そこから農山漁村をとりまく現代的な人─自然関係の変容についての考察を導くことにする。仮説的に想定されるのは、人と自然の関係の疎遠化がもたらしている社会的条件と、それに対する新たな対応としてどのような動きが農山漁村の各フィールドから立ちあがってきているかということであり、それが今後の分析枠組構築の作業の手掛かりになる。 また、農山漁村の「消費空間化」、再「生産空間化」、「環境空間化」が進展している現代的な状況に対して、モノグラフ手法をもちいた研究を立ち上げることを考えている。
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