研究課題/領域番号 |
20H01608
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 放送大学 (2023) 岡山理科大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
川島 聡 放送大学, 教養学部, 教授 (60447620)
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研究分担者 |
松井 彰彦 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (30272165)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 障害者雇用 / 差別禁止 / 福祉的就労 / 国際比較 / 学際研究 / 就労継続支援A型事業所 / 障害者権利条約 / 障害者差別解消法 / 障害者虐待防止法 / 不当な差別的取扱い / 合理的配慮 / 障害の概念 / 障害者就労制度 / 法学と経済学の学際的アプローチ / 障害者就労 / 学際性(法学と経済学) / 国際比較(日独英) / 制度の隙間 / 障害者基本法 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、障害者就労制度に関する諸研究(国際比較によるものを含む)の中で、法学と経済学の学際的アプローチを用いたものは、ほとんどなかった。では、法学と経済学の学際的アプローチを用いた国際比較研究により、障害者権利条約を批准した日本の障害者就労制度の全体的構造及び課題はどのように見えるのであり、どのような政策的処方箋が描けるか。本研究はこの問いに答えることを目的とする。この目的を達成するため、本研究は、法学と経済学の学際的アプローチを用いた日独英の比較分析により、4年間で、一般就労と福祉就労の両方を視野に入れた障害者就労制度の諸論点について、新たな知見を明らかにする。
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研究実績の概要 |
日本の障害者就労制度の全体的構造を明らかにしようとする本研究に資する研究成果として特に以下が挙げられる。 まず、日独英のいずれも批准している障害者権利条約における障害のモデルや、法的能力規定、自律及び包摂の概念などは、本研究にとってきわめて重要となるが、これと関連する研究成果として、「障害者権利条約12条と第1回対日審査」『実践成年後見』103号(2023年)、「人権モデルと社会モデル―日本の条約義務履行への視座」『賃金と社会保障』1817・1818号(2023年)、「障害者権利委員会の日本への総括所見を受けて―社会モデルと人権モデルを活用し、選びたくなる一般制度をつくる」『さぽーと』70巻1号(2023年)が挙げられる。 また、最後に掲げた拙稿は、障害者就労制度を含む障害者制度にとって基本的な問題となる、「自律(選択)と包摂との相克」を論じている。これは、障害者が「分離した特別制度」(福祉的就労)を選択することにより、障害者の一般制度(一般就労)への包摂が進まないという問題である。国連障害者権利員会は対日総括所見で福祉的就労から一般的就労への移行の迅速化を勧告しているが、この勧告の趣旨と内容を明らかにするためには、「自律(選択)と包摂との相克」という問題状況を分析した上で、その相克の解消方法を検討することが必要となる。一般には、当事者が選択したくなる一般制度を構築することが、総括所見の勧告が求めていることである、と言えよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経済学と法学の学際的アプローチを用いることにより、日本の障害者就労制度の全体的構造及び課題はどのように見えるのであり、どのような政策的処方箋が描けるか、を明らかにするという課題の下で、上記のとおり、障害者就労制度における「自律(選択)と包摂との相克」という重要な論点を検討したことにより、障害者就労制度の全体的構造の解明により一層近づくことができた。 分担研究者の松井彰彦教授とともに『障害者の自立と制度』と題する書籍を出版する予定であり、その中では、「自律(選択)と包摂との相克」という論点を経済学と法学の観点から分析・検討している。本書の原稿は、2023年2月末に出版社に提出し、現在初校をしている段階である。 2023年中には初校と再校を終えて、2023年度末までには出版予定である。本書は、経済学と法学のアプローチから障害者就労制度を含む障害者制度を包括的に検討するものであり、科研費の本研究の目的実現に大いに資する。
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今後の研究の推進方策 |
上記のとおり、『障害者の自立と制度』を2023年度末までに出版することを予定している。また、英独の障害者就労制度の分析を進める予定であるが、これまではコロナ禍もあって、英独に訪れてインタビュー調査をする機会が得られず、もし2023年度も難しい場合には、文献調査などを中心にして本研究の目的を遂行したい。
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