研究課題/領域番号 |
20H01625
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
土井 妙子 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50447661)
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研究分担者 |
藤岡 達也 滋賀大学, 教育学系, 教授 (10311466)
西崎 伸子 芸術文化観光専門職大学, 芸術文化・観光学部, 教授 (40431647)
牧野 淳一郎 神戸大学, 理学研究科, 教授 (50229340)
田口 真奈 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 准教授 (50333274)
後藤 忍 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (70334000)
明日香 壽川 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (90291955)
濱岡 豊 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (60286622)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 福島第一原発事故 / 公害・環境教育論 / 再生可能エネルギー / 教材開発 / 評価研究 / 環境教育論 / 教材作成 / ICT教材開発 / カリキュラム研究 |
研究開始時の研究の概要 |
福島第一原発事故による未曽有の環境汚染問題に対し、環境学各分野の一線の共同研究者たちの協力を得て国内初の「福島を伝える」学際的内容をもつICT教材開発を行う。大学生初学者を学習対象者として念頭に置く。代表者は福島事故後、教育と社会への影響に関して現地調査を繰り返しながら研究し、成果発表してきた。事故の影響は自然と社会の多岐にわたるが、報道量も減り、総体が掴みにくい。このため現地の様子がわからないという学生や教師、国民多数の声に、広く成果を公開することで応えたい。さらに、開発した教材は、各大学の授業で使用し評価を行うという大学間ネットワークのPDSサイクルによる挑戦的なFDを実施する。
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研究実績の概要 |
本研究においては、福島第一原発事故による未曾有の環境汚染問題に対し、環境学各分野の一線の共同研究者たちの協力を得て国内初の「福島を伝える」学際的コンテンツをもつICT教材開発を行う。代表者は福島事故後、2011年8月より合計65回にわたって現地に通い、教育と社会への影響調査を行い、成果発表をしてきた。事故の影響は、自然と社会の多岐にわたるが、マスコミの報道量も減り、全体像がつかみにくい。このため現地の様子がわからないという学生のみではなく、教師や国民多数の声に、広く成果を公開することで応えたい。さらに、開発した教材は各大学の授業で使用し、評価を行うという大学間ネットワークのPDSサイクルによる挑戦的なFDを実施する。 本研究は以上の3年間の計画をもっており、2年目にあたる2021年度は、教材作成や実践・評価研究を実施する予定であったが、コロナ禍が収束せず、教材作成の基盤となる現地調査が十分にできない状態が続いた。昨年同様に文献調査を十分にすることやオンライン研究会でのFDを充実させるなどの対応をしてきた。計4回のオンライン研究会では、自大学でどのように福島第一原発事故の影響等について教えているかを報告したり、本研究全体の成果物としてのICT教材の内容に関する具体的な協議をしたりして作業を深めることができた。オンラインでの研究会は移動の時間をとられずに気軽に参加しやすいというメリットがあり、分担者や研究協力者のみならずその他多数の大学教員の参加者があった。充実した意見交換ができ、この研究課題の大きな目的のひとつである大学間FDは活発に実施できているといえる。 成果物としては、コロナ禍ではあったが、分担者たちは文献調査をもとにした業績を積極的に出しており、教材作成や評価研究の基礎づくりを十分にしているといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に引き続きコロナ禍が収束せず、現地調査が難しく、最新の知見が反映しにくい状況が続いている。一方で、文献調査を充実させたり、オンライン研究会では教材作成の内容や実践評価研究の検討をしており、研究全体を進展させている。オンライン研究会では直接対面式の研究会よりも移動の時間がとられずに参加しやすい面があり、多数の大学教員の参加があった。福島の状況や自大学での教育実践、教材作成などに関して充実した意見交換ができており、貴重な大学間FDの機会となっている。以上のコロナ禍でのマイナス面や全体でのプラス面を鑑みて「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
教材作成の作業としては、具体的な教材を複数作り、それをもとにして意見交換をしており、進行している部分もあるが、コロナ禍が続き、現地調査ができていないため、最新の知見が反映しにくい状況にある。感染状況をみて、現地調査ができる段階になった際には、タイムリーに実施したいと考える。福島第一原発のある大熊町や双葉町をはじめとする双葉郡全体の事故後の変遷や自治体間格差などを行政や市民への調査から明らかにしたい。 ICT教材作成の一環として、地図「世界の原子力発電所と震源」の2022年版も作成したいと考える。前回作成した2018年版は好評であり、国内の大学や高校教員、学生たち、議員や市民、海外の方にも配布できた。エネルギー問題を多面的に考える材料になっていると考える。 福島事故を研究の基軸としつつ世界に目を向けると、2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻がはじまり、ウクライナの原発がロシア軍に制圧されたり砲撃を受けたりするといった前代未聞の出来事が起こっている。核惨事の危険性があり、改めて原発を保有するリスクを考えざるを得ない。さらに資源国ロシアへの経済制裁によって世界的なエネルギー危機が起きており、気候危機への対応とともに幾種もの大きなエネルギー問題が発生しているといえる。グルーバルなエネルギー問題を念頭に置きつつ、福島第一原発事故を起こした当事国の針路は、事故を教訓化して考えることが必須であり、多くの学生や国民に現地の状況をまず知ってもらうことが重要であろう。このためにも地道な調査研究を継続させ、教材作成に反映させたい。
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