研究課題/領域番号 |
20H01654
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 直也 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30293210)
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研究分担者 |
的場 光太郎 北海道大学, 医学研究院, 講師 (00466450)
成田 啓廣 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10770208)
高塚 尚和 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242490)
舟山 一寿 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80568486)
石川 浩志 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90377151)
堀井 陽祐 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (90464015)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 死後画像診断 / 死後CT / 小児死後画像診断 / 小児死後CT / 小児死因究明 |
研究開始時の研究の概要 |
(概要) 近年顕在化している児童虐待に対応するために、小児死亡事例における死後CTが重要となっているが、検査および診断法は確立していない。本研究の概要は、小児死後CTの検査方法及び診断の標準化を目指し、1)被ばくの影響を考慮する必要のない小児死後CTの撮像条件を確立し、2)同一症例における生前CTと死後CTを比較検討することで、成人よりも進行の早い小児の死後変化を明らかとし、3)死後画像に慣れていない臨床医でも、小児死後CTの読影を可能にする標準化された読影方法を開発、死後CT所見を解剖所見と比較することで読影方法を検証し、小児における死後CT診断の有用性を明らかにする研究である。
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研究実績の概要 |
1)小児死後CTの至適条件の検討について。新生児の体格とX線吸収値を模した新生児ファントムを新潟大学医学部法医学教室の16列DualエネルギーMDCTで撮像して得られたCT画像の画質を検討した。CTでは管電流をあげると良好な画像が得られる。被曝の影響を考慮する必要がない遺体の場合、臨床で用いられない高い管電流を使用することが可能であるが、必要以上の管電流を使用すると、機器の負担が増える。複数の管電流を用いて得られた頭部CT画像に、計算ソフトウェアを用いて作成した仮想模擬病変を挿入し、病変の検出能を検討した。経験豊富な2名の放射線科医が、仮想模擬病変が挿入されたCT画像を観察し、この病変が検出できるかどうかを判断し、微細病変の検出に必要な最低限の撮像条件を明らかにした。今後は、小児ファントムを用いて、同様の撮像実験、病変検出能の検討を行い、体格の異なる小児におけるCTの至適条件を検討する予定である。 2)小児死後CTの画像収集について。2-1)2021年度に新潟大学法医学教室で死後CT検査が行われた小児は4例であった。このうち2例で解剖が行われ、体内の状態と死因についての結果が得られた。解剖が行われた症例については死後CTの画像所見と解剖における実際の所見を比較検討が可能であった。今後は、症例を蓄積し、死後画像所見における死因究明、死後変化について、さらなる検討を行う。2-2)新潟大学放射線医学教室の協力のもと、関連病院において小児死後CT画像の症例の提供を依頼した。各病院の倫理審査委員会で審議を行っていただき、症例提供の手続きを行った。関連病院から、2020年4月から2025年3月までの症例を提供していただき、死後CT所見における死後変化や死因究明の検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)COVID-19のパンデミックのため、新潟大学医歯学総合病院における新生児・小児ファントム実験が不可能となった。当初の予定では、新潟大学医歯学総合病院において複数のメーカーの複数のCT装置を用いて、新生児・小児ファントム実験を行う予定であったが行えなかった。このため、新潟大学法医学教室の遺体専用CTのみを用いて、新生児ファントム実験を行った。単一のCT装置を用いて新生児ファントムのCT画像を得ることができたため、最低限のデーターの収集は可能であった。しかし、CT装置はメーカーや機種によって、情報収集の方法や画像再構成の手法が異なるため、複数の機器を使用した実験を行うことが望ましい。今後、新潟大学医歯学病院における実験が可能になった際に、複数のCT装置を用いた実験を再開する予定とする。 2)COVID-19のパンデミックのため、市中病院との検討会の機会が失われた。COVID-19パンデミック以前には、長岡日赤病院、新潟県立新発田病院などにおいて、小児を含めた死因究明の検討会を行っていた。この機会で、市中病院の臨床医と情報を交換し、症例についての詳細な検討が可能であった。COIVD-19のパンデミックのため、このような検討会は中止となった。その他の市中病院でも部外者の入館を制限され、情報交換の機会が失われた。死因検討については、内容の機密性のためオンラインによる検討は行うことが難しい。しかし、臨床医と行うオンライン会議や電子メールなどを用いて、症例の提供を依頼し症例の蓄積に努めていく。
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今後の研究の推進方策 |
1)小児死後CTにおける至適撮像条件の研究について。①新生児ファントムを用いた至適撮像条件の結果を国際法医画像研究会で口演発表する。結果をまとめて、学会誌などに論文投稿までを目指す。②新生児ファントムと同様に、新潟大学法医学教室の16列DualエネルギーMDCTを用いて、5歳児相当の体格、X線吸収値を模した小児ファントムのCT画像を収集する。撮像には一定の管電圧、マトリックスサイズ、スライス圧を用いて、複数の管電流を設定して、異なった条件のCT画像を得る。③令和4年4月時点で、COVID-19の再拡大のため、新潟大学医歯学総合病院において、他部門からの実験は制限されている。新潟大学医歯学総合病院の機器を用いた実験が可能となった場合、新生児ファントム、幼児ファントムを用いたCT画像のデータ収集を行う。 2)小児死後CTが行われている近隣の病院と共同で、小児の生前から死後に至るCT画像を収集する。新潟大学法医学教室にて解剖が行われる症例を中心に、新潟県内の小児救急を行っている病院などから、生前CT、死後CTの提供を受ける。新潟大学法医学教室で行われた小児死後CTと解剖所見を対比し、死後CTにおける死因、死後変化に関連した所見を検討する。また近隣の病院から収集したCT画像所見を考慮しながら、死後変化、心肺蘇生術を含めた死後CTにおける特徴的な所見を検討する。
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