研究課題/領域番号 |
20H01672
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
伊藤 賢一 群馬大学, 情報学部, 教授 (80293497)
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研究分担者 |
照山 絢子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (10745590)
谷塚 光典 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30323231)
船木 昭夫 青森大学, 社会学部, 教授 (40347828)
友納 艶花 九州女子大学, 人間科学部, 教授 (40645553)
川島 芳昭 宇都宮大学, 共同教育学部, 教授 (70282374)
山田 真理子 九州大谷短期大学, その他部局等, 名誉教授(移行) (80141729)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | インターネット / 長時間使用 / 健康被害 / ネット依存 / 啓発プログラム / 不健全なインターネット利用 / 青少年 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,わが国ではネット機器が浸透しているだけでなく,さらに高速のネット回線が整備 され,青少年の「不健全なインターネット利用」(PIU)のリスクはますます高まっており,ネット依存だけでなく眼や睡眠リズムへの影響など健康被害のリスクが懸念される。他方では,いたずらに不安を煽る情報や報道も出始めており,「正しく」恐れるための啓発プログラムの開発は急務である。 本研究は青少年のPIUによって引き起こされる(ネット依存・ゲーム障害を含む)健康被害に関する実態調査と,関係者・支援団体へのヒアリング調査を実施し,そこで得られた知見に基づいてネット健康問題に関する啓発プログラムの開発を目指すものである。
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研究実績の概要 |
本年度の当初計画では①横断型大規模調査、②縦断型追跡調査、③ヒアリング調査、④ネットアドバイザーを対象とした啓発プログラム開発、⑤教師を対象とした啓発プログラム開発、⑥調査結果の分析と成果報告、を行うことになっていた。 ①は本来20年度に実施するはずだったがコロナ禍によって実施が今年度にずれこんだものである。21年4月に全国の都道府県と無作為に抽出した市区町村教育委員会(約120)に調査依頼の依頼文書を送付したところ、調査に応じてくれるという返答は1箇所のみであった。そこで研究分担者・研究協力者に関係のある教育委員会や学校に呼びかけてもらい多くの協力校が得られたので、21年12月から22年1月にかけて実査を行った。同時に②追跡調査も行う計画であったが、予想外に①の作業負担が大きくなったため今年度の実施は断念した。③のヒアリング調査についてもコロナ禍の制約があったため部分的にしか実施できなかった。 ④⑤の啓発プログラムについては、眼の健康問題に関する研修会(5月)、乳幼児のネット利用問題に関する研修会(6月)、教員免許状更新講習(青森大学・7月、群馬大学・8月、宇都宮大学・9月)、健康問題全般に関する研修会(10月、11月、1月、2月)を開催して貴重なデータを得られた。とくに眼の健康問題についての関心が高いことから、この問題に関する啓発用のブックレットを作成し、調査協力校に配布して啓発活動に活かしてもらうこととした。 さらに、群馬県中之条町・同教育委員会と研究代表者の研究室は連携協定を結び(12月)、講演や調査を共同で行うこととした。 ⑥の分析については、①については21年度中に行うことはできなかったが、前年度に行った調査の分析は継続して行っており、成果の一部を公表できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画の内、④⑤の啓発プログラム開発は順調に進んでいるが、①②③の調査はコロナ禍の影響もあって遅れがちで、それにともなって⑥の分析と公表も予定よりも遅れている。 ①は当初の計画では20年度に実施するはずだったが、本研究初年である20年3月から全国の学校のほとんどが休校となったため先送りし、その後も状況が改善しなかったため20年度の実施を断念したものである。上述の通り、この調査については研究分担者・研究協力者を通じて依頼したため、予想以上に多くの学校や教育委員会から協力してもらえることになった。 調査票の設計は前年度に終えていたが、問題点を検証するために7月にwebでのテスト調査を行って準備を整えた。ところがコロナウイルスの流行は21年夏にも再び拡大したため実施ができたのは21年12月から22年1月にかけてであった。同時に②追跡調査も行う計画であったが、予想外にサンプルサイズが大きく(当初見込みの3倍程度)なったことから、計200校程度になった協力校との連絡や調査票の発送業務等に必要なマンパワーが追いつかない状況となり、21年度からの追跡調査は断念し、①大規模調査のみを実施した。また、21年1月以降にもコロナウイルス第6派の影響で、アルバイト学生が大学に入構できない時期があるなど、回収した調査票を整理するための作業に遅れが出たが、何とか紙の調査票の入力までは年度内に完了した。 ④⑤の啓発プログラム開発に必要な研修会や教員免許状更新講習は順調に実施できたものの、①の調査が遅れたため最新の知見を盛り込むことができなかった点は反省点である。次年度以降の研修会には①結果を反映させたものを作成したい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は①の調査結果を分析してプレスリリースや学会報告、論文として社会に還元する予定である。ネット利用と健康問題に関するもので、本研究が実施した①ほど大規模な調査はあまり多くなく、それだけ説得のある質のよいデータが得られている。積極的に還元していきたい。22年9月の社会情報学会(SSI)大会や Tsukuba Global Science Week での報告を予定している。 ②の追跡調査については、残っている研究期間が2年間しかないが、なんとかやり方を工夫して実施したい。webアンケートに協力してもらえる学校に限定して実施する等、計画を再検討する。 ⑤については、教員免許状更新講習そのものが廃止となったため、教師を対象とした啓発プログラムの開発と検証について、別の方法を検討する必要がある。④のネットアドバイザーを対象とした研修会で教師も参加できるようなやり方を工夫する必要がある。 これに関して、群馬県中之条町との連携事業では啓発プログラムを実際に講演等で実演してカリキュラム評価を行うことができるので、研究成果の公表として積極的に活用していく予定である。
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