研究課題/領域番号 |
20H01701
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 香川短期大学 |
研究代表者 |
加野 芳正 香川短期大学, その他部局等, 教授(移行) (00152827)
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研究分担者 |
小方 直幸 香川大学, 教育学部, 教授 (20314776)
西本 佳代 香川大学, 大学教育基盤センター, 准教授 (20536768)
藤村 正司 徳島文理大学, 人間生活学部, 教授 (40181391)
浦田 広朗 桜美林大学, 大学院 国際学術研究科, 教授 (40201959)
葛城 浩一 神戸大学, 大学教育推進機構, 准教授 (40423363)
稲永 由紀 筑波大学, 教育推進部, 講師 (80315027)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 短期大学 / 短期大学教員 / 高等教育へのユニバーサル・アクセス / 高等教育 / 教育機会 / 短期高等教育 / ユニバーサル・アクセス / 高等教育の修学支援新制度 / 資格 / 高等教育の機会 / 修学支援新制度 |
研究開始時の研究の概要 |
ローカルティとコミュニティに根差した短期大学は、ユニバーサル・アクセスに移行する日本の高等教育にとって重要な役割を果たしている。 このことを前提に、短期大学が我が国高等教育のユニバーサル・アクセスにどのような役割を果たしてきたのか、ユニバーサル・アクセス化する高等教育システムの中でどのような役割を果たし、どのような困難に直面しているのか、2000年代に入って短期大学の凋落ぶりが著しいがその背景は何であるのか、このことを社会学的に明らかにしていく。 そして、短期大学を中心に据えたときの高等教育システムを将来展望していく。
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研究実績の概要 |
令和4年度は4か年計画の3年目であったが、コロナ禍により対面での研究会はおこなわず、チームで行う調査研究と個人の研究関心に基づいた個人研究の二側面から研究を進めた。 調査研究については二つの調査を実施した。一つは短期大学教員調査である。短期大学に所属する教員の約半数(約3000人)を対象として質問紙調査を実施し、約1000人から回答を得た。自由記述欄への回答も多く、現在データの入力作業を進めている。データ析と論文発表は令和5年度に行われる。もう一つは学生調査である。令和4年度には質問紙調査を作成するとともに、K短期大学を対象にプレ調査を実施した。プレ調査からは、大学に対する満足度が高いこと、満足度は学科によって異なること等がわかった。本調査は令和5年度に実施し、引き続きデータ解析と論文執筆を行う。 次に、研究課題に対応した個人研究の実績である。研究分担者の稲永由紀は、短期大学を非大学型高等教育と位置づけ、特に教員の活動に焦点を当てて研究を進めた。その成果は、『高等教育研究』に掲載される予定である。同じく研究分担者の葛城浩一は、短期大学を含む大学の多様性に着目して、そうしたなかでの大学教員のキャリアパスについて研究を進め、神戸大学『大学教育研究』に論文を掲載した。浦田広朗は高等教育の修学支援新制度に着目し、それが大学財務と学生生活・家計にどのような影響を与えているかを明らかにし、論文を『私学高等教育研究叢書』に掲載した。西本佳代は貧困や児童養護施設入所経験という「困難を有する」学生の大学進学について研究を進め、日本高等教育学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は共同研究であるが、コロナ禍にあって対面での研究会は実施できず、研究代表者が研究分担者を訪問したり、オンラインでの研究会を開催したりすることによってチームとしての連携協力を維持してきた。全体として調査研究(アンケート調査の実施等)の進行は遅れがちではあるものの、令和5年度は最終年度に当たるため、後れを挽回すべく鋭意研究に取り組んでいる。教員調査については、すでに調査を完了しており、令和5年度にはデータの解析と論文執筆に取り組む。学生調査については、調査票の印刷を完了しており、令和5年の秋に調査を実施し、令和5年度内にデータの解析と論文執筆を完了させる予定である。加えて、学長・理事長へのインタビュー調査がコロナ禍にあって進められていないので、令和5年度に学長に対するアンケート調査を実施し、少子化と4年制大学への進学が顕著になるなかで、各短期大学が現状をどのように捉えており、将来展望を有しているのかを明らかにしていく。 短期大学は発足して70年が経過し、90年代の「黄金の7年」終了後、学生数は減少の一途をたどり、大学数もほぼ半減した。本研究は、この間の歩みを18歳人口の増減、女子の進学動向、教育政策、教育機会の平等(高学歴化・平等化)、職業資格、高等教育の地域配置、修学支援制度等を変数とした社会学的視点から解明しようとしている。しかし、資料は蓄積されているものの、体系的な整理が出来ているとはいえず、最終年度である令和5年度に考察を深め、最終報告書に結び付けたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は4か年計画であり、あと1年を残すのみである。まず、学生調査についてであるが前年度に質問紙を完成しており、卒業年次の学生を対象とするので10月から11月にかけて実施する。10大学、約2000名の学生を対象にし、急ぎデータの分析を行い年度内に発表原稿を完成させる。 教員調査については令和4年度に実施し、5月中にデータが上がってくる。このデータをまずは広島大学高等教育研究開発センターのホームページ上にアップする。そのうえで発表原稿を香川短期大学紀要等に投稿する。 コロナ下で、学長インタビューはかなわなかったので、学長アンケートを実施する。現在、短期大学は300校程度であり、進学先の4年制大学への移行、少子化、修学支援新制度等が短期大学の経営や運営にどのような影響を与えており、将来に向けてどのような展望を有しているのかを調査する。これについても年内に分析の上、発表原稿として完成させる。また、K短期大学を事例として卒業生調査を実施する。K短期大学は50年以上の歴史を有しており、10年ごとに卒業生に調査を行ない、短期大学で学んだことの意味や意義について明らかにしていく。 令和5年度は8月と11月に全体研究会を開催し、研究の総括を行う。そのことを受けて、学生調査、教員調査、卒業生調査、学長調査をもとに、短期大学の70年史を点描するとともに、短期大学を中心に置いた高等教育像を描いていく。また、この研究を単行本として刊行したいので章立てと執筆者を決めていく。また、この研究をどのように発展させていくかを検討していく。
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