研究課題/領域番号 |
20H01720
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
光永 悠彦 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70742295)
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研究分担者 |
孫 媛 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (00249939)
鈴木 雅之 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (00708703)
山口 一大 筑波大学, 人間系, 助教 (50826675)
植阪 友理 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (60610219)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 認知診断モデル / 授業評価 / 数学教育 / 初等教育 / 学力調査 / 算数教育 / 学力評価 / 授業改善 |
研究開始時の研究の概要 |
2020年度より全面施行される新学習指導要領では「深い学び」の重要性が指摘されている。一方,教育測定の分野では,認知診断モデルと呼ばれる心理モデルを応用し,認知過程の処理水準の深さ,すなわち学びの深さを測定しようとする研究が行われてきた。本研究課題では日本の小中学生の算数・数学を題材に,認知診断モデルに基づき,学びの処理水準を定量的に測るための方法を開発し,その結果を授業の改善に生かすための具体策を提案することを目的とする。学びの深さを意識したカリキュラム実践の進展に寄与することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、認知診断モデルを用いて、小学生を主とした算数・数学における「深い学び」を測るための方法を探っている。認知診断モデルの分析にあたっては、小学生に対して多数の問題を提示して得られた正誤データと、それぞれの問題に正答するために必要な要素(アトリビュート)及び問題ごとに必要となるアトリビュートの対応表(Qマトリックス)を用いて、児童のアトリビュートごとの修得確率を推定する。 研究期間2年目(2021年度)においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い昨年度に行うことができなかった、小学校におけるデータ収集を試みたが、大規模調査に対する対応が困難であるということから学校の協力が得られず、見送らざるを得なかった。そのため、当初予定になかった、高校生における定期テストデータに対して「学びの深さ」を認知診断モデルにより検討する研究を先に行うこととした。高校においては新型コロナウイルス感染症の影響が軽微になってきているところがあるため、学びの深さを検討するための類似事例として先に研究を行うこととし、ここで得られた知見を用いて、小学生向けの調査問題内容の検討及びアトリビュート・Qマトリックスの検討に援用することとした。 並行して、小学生算数の課程におけるアトリビュートの内容として、Qマトリックスの形で表現できる要素であるかどうかについて、検討が行われた。また、認知診断モデルの分析にあたっては、使用するモデルの精査・選定が必要であるが、理論的な基盤的追究として、これらの概念的整理と検討が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、小学校を中心に、外部からの調査協力依頼が断られることがたび重なっている。小学校においては正規の授業時間を確保しつつ、恒常的な感染対策も行わなければならないため、教員への業務負担が増しており、その中で調査を依頼しても、現場の教員が対応不可能であるだけでなく、校長や教育委員会レベルにおける対応も難しくなっているのが実情である。しかしながら、感染拡大基調がずっと続いているわけではなく、拡大・収束の波が見られており、年を追うにしたがって感染が収束する方向で推移することが期待される。 一方で、小学校算数における認知診断モデルのための調査問題作成については、データを収集するためにコンピュータを用いて行うことも検討している。また調査問題の内容については、高校生向けの認知診断モデル適用事例により、おおむねその方向性がかたまりつつある。さらに、分析にあたって必要不可欠な、使用するモデルの詳細についても、ある程度の先行研究のレビューが終わっており、適用できる前提は整っているものと判断される。調査実施が可能となった段階で、すぐに調査ができる状態になりつつあるという意味で、「やや遅れている」ということにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
感染拡大傾向が今後もとどまらない場合であっても、オンライン授業等の普及や現場の教員、学校組織の感染拡大に対する適応により、学校の諸活動が停滞する事態は生じにくくなることが予想される。とりわけ、感染対策に対する理解が進むことにより、対面形式による調査実施も可能となることが予想される。今後の研究の方向性としては、認知診断モデルによる調査を1年に複数回行う年度があり、その年度に向けて調査問題を洗練させていくという過程が重要になるものと考える。 また併せて、オンラインによる調査実施の可能性についても、検討しなければならない。オンラインによる授業実践が可能な小学校に調査対象が限定されるという欠点はあるものの、まずはそのような限定されたサンプルからであっても、実データを収集して分析することを最優先して、研究を進めていくこととしたい。
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