研究課題/領域番号 |
20H01721
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
須曽野 仁志 三重大学, 教育学部, 教授 (50293767)
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研究分担者 |
大野 恵理 三重大学, 教育学部, 准教授 (40813845)
萩野 真紀 三重大学, 教育学部, 特任教授(教育担当) (10816622)
榎本 和能 三重大学, 教育学部, 特任教授(教育担当) (70816644)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2020年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | プログラミング学習 / Scratch / STEAM / 教員研修 / スクラッチ / 授業デザイン / 学習デザイン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではSTEAM(科学、技術、工学、アート、数学)に注目し、小中学生用スクラッチプログラミング授業をどのように設計するかを明らかにする。その過程で、教科学習で何をどう学べるかを検討し評価法を開発する。さらに、プログラミング学習の基礎・支援技法を学ぶ研修プログラムを開発・実施する。本実践研究は、インストラクショナルデザインで、1) 児童生徒の学習と教員研修両面からプログラミングにアプローチする、2) 小学校と中学校での教科学習にも注目する、3) プログラミング学習の評価を検討する、4) MITの教師教育部門と連携し、構成主義に基づくスクラッチ実践を実現する、という点が特徴である。
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研究実績の概要 |
小中学生を対象としたスクラッチプログラミング学習で、STEAM(Science, Technology, Engineering, Arts, Math)に注目し、その授業デザインや教育研修に取り組んだ。研究目的は、1) STEAMの視点や児童生徒の発想や創造を重視し、各教科でのスクラッチプログラミング授業をどのように設計するか、2) 教員がプログラミング学習を指導・支援できるように、インストラクショナルデザイン(ID)の知見や授業実践をもとに、研修プログラムをどう設計するか、の2つである。 本年度、1)に関しては、STEAMの発想を活かすプログラミング学習の内容・方法・評価を検討した。前年度に引き続き、児童生徒が「画面のネコを動かし幾何学的図形を作成する」「音楽の曲を作る」「英語での自己紹介を作成する」実践を小中学校での教室で進めた。また、小学校中学年以上の児童が総合的な学習で取り組める「マイワールド」プロジェクトを進め「海の水族館」「森の世界」「近未来な町」等の作品をスクラッチで制作した。さらに、a)デジタルストーリーテリングでの発想をもとに「つぶやきショートビデオ」をスクラッチで制作する、b)ネコ型ロボット「Codey Rocky」をスクラッチで動かす、という2つの学習プランを提案した。 2)に関しては、教員研修プログラムで、IDの知見であるARCS動機づけモデル、多重知性理論以外に、マルチメディ学習理論(Mayer)、教育の第一原理(Merrill)を取り入れ、小中学生のスクラッチプログラミングやSTEAM学習にどのように取り入れ実践できるかを検討し、指導案を作成した。三重県内小中学校でのプログラミング出前授業を継続し、本研究で開発した学習プランや指導案を取り入れた実践を行った。その際、教室での出前授業に教員が参加し、共に学習支援を進める指導スキルの向上につながった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、三重県内小中学校、特に三重県東紀州地域での学校で、スクラッチプログラミングの出前授業を進めてきた。その成果や課題をもとに、スクラッチプログラミングにおいて、どのようにSTEAM学習を取り入れるかについて整理・検討した。その結果、各教科、合科学習、または総合的な学習において、スクラッチプログラミングを効果的・効率的・魅力的に進めることができる学習プランを、前年度に引き続き数本作成することができた。また、デジタルストーリーテリングでの発想をもとに「つぶやきショートビデオ」をスクラッチで制作する新たな提案を行った。さらに、ネコ型ロボット「Codey Rocky」をスクラッチで動かすアイデアは特別支援クラスから得たもので、全ての児童生徒のためにスクラッチプログラミングでのSTEAM学習を様々な視点から提案することができた。それらの実践や提案を現職教員や教員を目指す学生に幅広く紹介した。 しかし、スクラッチプログラミング学習を先進的に進める米国の小中学校を訪れる予定であったが、コロナ禍が広がり収束が見通せないので、米国マサチューセッツ州やアリゾナ州の大学や学校を訪問することができなかった。その訪問をもとに国際的な交流学習や教員研修が実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで児童生徒がコンピュータや情報タブレットでの画面上でスクラッチプログラミングの操作をしてきたが、ネコ型ロボット「Codey Rocky」のように実際にプログラミングして実物を動かせるものがあると、児童生徒にとってのやりがいや満足感が高くなることがわかったので、具体物を情報タブレットで操作しSTEAM学習を進めていく学習プランをさらに提案する。研究者らが長年実践研究を進めてきたデジタルストーリーテリングも簡単な「つぶやきショートビデオ」にするとスクラッチでプログラミングして学ぶことができるので今後その提案を実践しやすいようにしていく。 三重県内の小中学校でのスクラッチプログラミング出前授業や教員研修は、コロナ禍の中でもある程度実施できたが、対面での授業や研修以外に、オンラインでの学習や研修がリアルタイムまたはオンデマンドで行えるようにしていく。対面で行った場合とオンラインで行った場合の違いについて、学習者や教員の満足度ややりがいはどうか、学習や研修の効果はどうかを検討していく。 スクラッチを開発したMITがあるマサチューセッツ州やアリゾナ州の大学や学校訪問については2023年度に実現できるように準備を進めていく。また、インターネットを使ったオンラインツール(zoom等)を使って情報収集したり、米国の研究者や実践者と交流し、スクラッチプログラミングの学習内容・方法やその評価法について交流する。できれば、インターネットを活用し国際的なプログラミング交流学習ができるように考えていく。
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