研究課題/領域番号 |
20H01730
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
赤倉 貴子 東京理科大学, 工学部情報工学科, 教授 (80212398)
|
研究分担者 |
加藤 浩一郎 金沢工業大学, 工学研究科, 教授 (50387338)
東本 崇仁 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (10508435)
加納 徹 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 講師 (40781620)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 学習支援 / 知的財産法教育 / 論理式 / 論理回路 / システム開発 / 知的財産法 / 法律学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、法律条文が論理式で表現できることを利用し、知的財産法学習の問題解決過程を論理式を使ってモデル化し、このモデルを利用した学習支援システムを構築する。その特徴は、計算機上で演習問題の解を計算機が一意に求めることができ、学習者の入力した解と比較して、式のどの部分で誤りがあったかをフィードバックできること、工学部学生が論理式や論理回路に親和性を持つことから、インタフェースとしても論理式や論理回路を使って学習できるシステムとすることである。また、問題解決過程だけでなく、知識獲得過程も同様にモデル化して、単なる演習システムでなく、知識のない状態から学習できる総合的な学習支援システムを開発する。
|
研究実績の概要 |
法律条文が論理式で書けることは広く知られており、その知見は法律エキスパートシステムや条文の無矛盾性の検定などに利用されてきた。しかし、これを学習支援システムに利用した例はなく、研究代表者は、知的財産法の問題演習において、論理式で問題解決過程モデルが定義できることを示し、これを学習支援システムに応用できることを示してきた。 2020年度は、条文論理式を論理回路で表し、工学部学生が理解しやすい形での視覚化を行い、論理回路を組み立てながら、条文を理解する条文学習システムを構築したが、条文を論理式化する作業は、専門家が手作業で行ったため、条文を完全に網羅するには至っておらず、また非常に時間がかかるという問題があったため、2021年度は、法律条文を自然言語処理の手法を使って解析し、特に法文独特の接続詞である「または」「あるいは」「若しくは」などの違いを同定して、ある程度自動的に条文を論理式化できるようにした。また、論理回路を組立ながら条文を学習するシステム、演習システム、ビデオ教材の3つのサブシステムからなる学習支援システムを実際の講義での自習用補習用システムとして提供した。2022年度は、実践的利用での分析から、どのような特性を持つ学習者にどのようなコンテンツを提供するのが最も効果的であるかについて明らかにする過程で、言語的学習スタイルを持つ学習者のためには、論理回路組立型条文学習システムだけでなく、条文の形態素解析を行い、学習者がその形態素を組み立てて条文を構成するシステムが有効であることを示し、形態素組立型条文学習システムを試作した。さらに判例を視覚化することが応用学習に有効であることを示した。2023年度は、これらを総合的知的財産法学習支援システムとして構築し、さまざまな学習スタイルを持つ学習者に対して適応した学習支援を提供することを目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的は、法律条文が論理式で表現できることを利用し、計算機上で演習問題の解を計算機が一意に求めることができ、学習者の入力した解と比較して、式のどの部分で誤りがあったかのフィードバックができるという研究代表者の先行研究を発展させて、工学部学生が論理式や論理回路に親和性を持っていることから、インタフェースとしても論理式や論理回路を使って学習できるシステムを開発して、実用に供することである。2020年度は、システムの大枠を作成することが目標であったが、インタフェースの改善が進み、実際の講義の中でも利用することができたので、2021年度は、法律条文を半自動的に論理式化できるようにした。一方で、従来から講義の自習用補習用として提供している講義のビデオ視聴システム(講義を録画し、それにさまざまな機能をつけたシステム)と本研究で開発している条文学習システムと演習システムを統合し、実際に授業用として提供し、このシステムの使われ方の分析をしたところ、学習者の学習スタイルにより、コンテンツの提供方法を変えると効果的であると考えられたため、条文を論理回路で組み立てるだけでなく、形態素を組み立てるという視覚より言語の特徴を強調する方法のシステムも試作したところ、効果があると考えられた。さらに一文が非常に長く、読み取りが困難な判例についてはフィッシュボーン図を使って視覚化することが効果的であることもわかり、当初の計画以上に研究が進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は、条文を形態素を組み立てることによって構成するシステムの試作、判例を視覚化する試みにも着手したので、2023年度は、これまでに開発してきたシステムを統合し、学習者の学習スタイルに適応させた学習支援の部分をより強化する。具体的には以下の手順で行う予定である。 (1)学習者の学習スタイルを収集する。ある程度一般化するために、100人程度のデータの取得を行う。 (2)論理回路組立型条文学習システム、形態素組立型条文学習システム、演習システム、ビデオ視聴システム、判例学習システムを統合させ、実際の授業を通して運用する。(1)で収集したどの学習スタイルの学習者にどのようなシステムが最も効果的であったかを検証する。 (3)(1)(2)を通して、工学部学生の知的財産法学習時における学習スタイルモデルを新たに提案し、システムを学習者特性に適応した形で提供する方法論を確立する。
|