研究課題/領域番号 |
20H01742
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
内山 秀樹 静岡大学, 教育学部, 准教授 (50708435)
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研究分担者 |
信川 正順 奈良教育大学, 理科教育講座, 准教授 (00612582)
野澤 恵 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (10261736)
今井 一雅 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 客員教授 (20132657)
能見 公博 静岡大学, 工学部, 教授 (20325319)
松村 雅文 香川大学, 教育学部, 教授 (50239084)
渡辺 謙仁 成城大学, 付置研究所, 研究員 (50870151)
町 岳 静岡大学, 教育学部, 准教授 (80819293)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 科学教育 / 超小型人工衛星 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の調査では、理科への学習意欲と有用感は日本の中高生では低い。これは、科学技術が関わる様々な政策を選択する市民の育成の点で大きな問題である。 この問題解決の為、我々は超小型人工衛星に着目した。中等教育における最大のその利点を「実際の超小型衛星とほぼ同じデモ機を、生徒達自身が手に取り教材とできる点」と着想した。デモ機が生徒達と科学技術との距離を縮め、理科の有用感を増す非常に良い教材になる可能性がある。 そこで本研究では、教材としての超小型衛星デモ機を開発する。それを使い小中高の学校現場で実施できる探究的な学びの教育パッケージを開発・公開する。更に実践を行い、その教育効果を測定する。
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研究実績の概要 |
宇宙実験ボード SenseHATと小型コンピュータ Raspberry Pi4を組み合わせた超小型衛星(CubeSat)デモ機教材 (TopGunSat) を用い、附属静岡中学校で1年間に渡る正課授業と、立教新座中学校・高等学校で高校生向けの短期の科学教室での実践を行った。前者では、CubeSatを用いた新しい宇宙利用のアイデアをその実現性も考慮しながら検討する探究授業を実践した。後者は、無重力空間を題材に探究的な実験の実施を通して、力と運動に関する素朴概念の解消を目指す実践を行った。これらのR4年度の試行を元に、R5年度での実践に向けた教材・授業計画・効果測定方法を準備・改善できた。 ソフトウェア受信機(SDR)や段ボール八木アンテナを使った衛星電波受信実験の教育利用の実践も、KOSEN-1衛星チームとも連携しつつ、小中学生や高専生を対象に行った。SDRは将来的にはTopGunSatに接続し利用することを想定している。SDRや段ボール八木アンテナを活用することで、万有引力と円運動の物理学を学ぶ為(小林ら 2020)だけではなく、受信周波数の変化によるドップラー効果やアンテナを使うことによる電磁波の伝搬特性、また、NOAA 衛星画像の利用により気象分野学習の為の教材として受信実験を使える可能性が実践から見えてきた。 将来の教育専用超小型衛星での使用を目指し、民生品小型コンピュータ (Raspberry Pi Zero 2 W) の放射線耐性試験を行なった。極軌道上で、CubeSatの典型的な運用期間(約2年)以上の耐性を確認できた。 以上の実践や試験の報告を、日本天文学会、日本天文教育普及研究会中部支部会、小型衛星の科学教育利用を考える会等で行った。 また、第13・14回小型衛星の科学教育利用を考える会を開催し、衛星デモ機教材を含め、衛星の教育利用に関する情報共有・議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症禍の影響により、実践の実施に関しておおよそ1年程度の遅れが出ている。当初はR4年度の実践の本格的な実施を元に、R5年度に論文作成予定だったが、1年後ろ倒しになっている。 また、半導体不足の影響でRaspberry Pi4の価格が高騰し、入手が困難になっている。学校現場での活用を目指した教育パッケージとするためには、別の入手しやすい小型コンピュータを使う方針転換が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
中学校と高校で1年間にわたる正課の探究授業での実践を行う。中学校の実践では、14回小型衛星の科学教育利用を考える会で知見を得た、SFプロトタイピングの手法を導入する。これらの実践で、本教育パッケージの効果測定方法を行う。また、SDRを使った衛星電波受信実験の教材化と実践を進める。これらを論文としてまとめる。これらの授業を学校現場で実施可能な様に必要な情報・資料をまとめ、Webで公開する。教材用の小型コンピュータとして、Raspberry Pi 4に替わってM5 Stack Core2を使うことを検討する。また、教育用超小型人工衛星に向けた検討を進める。
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