研究課題/領域番号 |
20H01760
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤村 宣之 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (20270861)
|
研究分担者 |
橘 春菜 名古屋大学, 教育基盤連携本部, 特任准教授 (10727902)
鈴木 豪 群馬大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (40802905)
石橋 優美 埼玉学園大学, 人間学部, 講師 (60804797)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
|
キーワード | 本質的理解 / 授業デザイン / 学習過程 / 追究型発問 / 長期的変化 / 学習観 / 協同探究 / 協同解決 / 長期的効果 / 記述型課題 / 探究 / 教科学習 / 概念的理解 / 非定型問題 / 思考 / 多様性 / 教育心理学 / 実験的研究 / 実践的研究 / 発問 |
研究開始時の研究の概要 |
学校教育をめぐって教科内容の「深い学習」を導く授業と各学習者の「深い理解」の達成が国際的課題となっている。本研究では,各児童・生徒の「教科内容の本質的理解」を促す授業デザインを心理学的に明らかにすることを目的とする。具体的には,①個人・集団で探究する非定型問題の設定,②協同探究過程の組織,③教科内容の本質を追究する追究型発問の設定,④長期的学習過程の組織という4つの要因について,非定型課題に対する各児童・生徒の記述内容の深化等を指標として検討する。その際に,授業場面を離れた実験的研究と,小学校・中学校・高校の授業場面を対象とした実践的研究により,有効な授業デザインを客観的・具体的に解明する。
|
研究実績の概要 |
本研究では,一人ひとりの子どもの「教科内容の本質的理解」を促す授業デザインについて,(1)小学生~高校生を対象とした,授業場面を離れた実験的研究(個別実験・面接,協同解決実験,集団調査等)と,(2)小学校・中学校・高校の授業場面を対象とした実践的研究により,心理学的に明らかにすることを目的とする。 (1) 多様な知識が関連づけられる協同探究プロセスの解明(実験的研究) ①中学1年生を対象に実施した,社会科地理的分野に関するペアでの協同的推論について分析した結果,複数の説明カテゴリーを協同相手と相互に関連づけるペアでは多くの異なる観点から理由説明を行い,推論を深めることが示唆された。②小学4年生~中学2年生を対象に,文章や他者との対話を通して各児童・生徒が物語文の内容理解を深める過程を明らかにするための課題と発問を検討する予備的調査を実施した。③小学校5年生を対象に実施した個別実験の分析を行った結果,社会科における産業立地の規定因に関して,児童を生産者視点に立たせて考えさせることで農産物の流通過程なども考慮した探究が進み,輸送コストなどの社会的条件にも着目し,産業立地に関する本質的理解が深まることが明らかとなった。④授業内容を主体的にまとめる志向と批判的思考態度の関連について学生を対象に実施した調査を分析した結果,批判的思考態度が低い者には非定型問題に取り組んだ内容を自分より教師にまとめてほしいとする傾向がみられ,批判的思考態度が低い者より高い者に自分でまとめたいと考える傾向がみられた。 (2) 継続的授業デザインによる長期的学習過程の検討(実践的研究) 非定型問題の設定とそれに対する個別・協同探究を特徴とする授業デザインによる授業を継続的に組織し,本質的理解を測る記述型課題を年度の前半と後半に実施した結果,数学的思考に関する概念的理解の深まりに対する長期的効果が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)に関して,新型コロナウイルス感染症の流行が続き,新規での面接形式での実験実施などが困難であったが,実験的な手法を組み込んだ質問紙による集団調査や予備的調査,オンライン調査による研究を研究期間の後半に実施できているため。また,(2)に関して,記述型課題の実施による長期的学習過程の検討が開始できているため。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究の進展を生かして,(1)に関しては,文章や他者との対話を通して各児童・生徒が物語文の内容理解を深める過程や,生徒の協同探究を通じた数学科図形領域に関する本質的理解の深まりを検討する。また,児童・生徒を対象に他者の意見や考えを取り入れやすい条件や過程を明らかにする個別実験・面接,あるいは質問紙による集団調査を行う。さらに,小学生を対象に質問紙による実験的な集団調査を実施し,産業立地を題材とした多様な条件を自発的に組み合わせて考えることを促す発問の効果について検討を行う。(2)に関しては,中学生を対象とした協同探究過程の異なる授業について生徒の本質的理解に及ぼす効果を対比的に検討する。また,「教科内容の本質的理解」をめざす授業の長期的な効果についても,記述型調査を継続的に実施することにより検討する。
|