研究課題/領域番号 |
20H01786
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齊藤 智 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70253242)
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研究分担者 |
湯澤 正通 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (10253238)
中山 真孝 京都大学, 人と社会の未来研究院, 特定助教 (40838398)
上田 祥行 京都大学, 人と社会の未来研究院, 特定講師 (80582494)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 実行機能 / ワーキングメモリ / 知識 / 実行機能知識 / 課題知識 / 統計的学習 |
研究開始時の研究の概要 |
実行機能とは、「心の働き方を制御する心の働き」である。この心の働きは、個人の行動を制御し、感情を調整するだけでなく、人間の知的活動を根幹から支え、教育活動を含む社会生活のさまざまな局面で重要な役割を担う。近年の研究は、この実行機能が、経験によって形成され変容すること、したがって、経験によって蓄積された何らかの「知識」によって支えられていることを示してきた。本研究は、実行機能の 実現を支える知識を「実行機能知識」と名付け、その獲得過程と運用機構を解明する。人間行動や社会規範に見られる文化差もまた、実行機能知識によって理解でき、本研究は、新たな人間観の創生に寄与することになる。
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研究実績の概要 |
我々の思考と行動を目標に適合するよう管理統制する心の制御機能は、実行機能と呼ばれ、その認知メカニズムと発達過程、神経基盤、および遺伝基盤の解明が破竹の勢いで進んでいる。実行機能は、学習により習慣化した思考・行動パターンを打ち破る役割を担うため、これまで、学習された機能とは一線を画するものとして捉えられてきた。しかし、近年の研究は、実行機能が、経験によって形成され変容することを示し、その動態が、学習によって蓄積された「知識」に基づくことを示唆している。本研究は、実行機能の実現を支える知識を「実行機能知識」と名付け、その獲得過程と運用機構を解明する。その知見に基づいて実行機能知識理論を構築し、実行機能の可塑性を「知識」の観点から検討するための理論的枠組みを提示することを目的としている。これまでに「実行機能知識」の獲得と運用を検討するための心理学パラダイムを確立し、成人を対象に、大規模な心理学実験を行い、実行機能が実験課題を通じた経験によって適応的に変化することを確認した。2021年度及び予算を繰り越した2022年度には、同様の心理学パラダイム用いて、460名以上の成人を対象に、さらに大規模な心理学実験を行い、実行機能が実験課題を通じた経験によって適応的に変化することを示したこれまでの結果を追認した。得られたデータを定期的なグループミーティングによって確認し、分析および成果の論文化を進めた。2022年度予算を繰り越した2023年度には、「実行機能知識」の課題に特定的な知識を「課題知識 (task knowledge)」と名付けて、その実行機能課題への影響を大規模な心理学実験によって検討した成果を国際学術誌に発表した。加えて、Hebb反復パラダイムを用いて、実行機能知識の獲得過程の背後にある学習メカニズムを探り、その成果も国際学術誌に掲載してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検討の対象となる「実行機能知識」の獲得と運用を検討するための心理学パラダイムの確立に成功したが、新型コロナウイルス感染拡大のために、2020年、2021年度とオンキャンパスでの実験実施が困難な状況が続いていた。こうした状況の中でも研究を計画通りに進めるため、Web上で実施できる実験のプログラムを開発して、その実験の手続きを詳細に検討して精緻化していった。成人に加えて子どもを対象に、オンラインでの心理学実験を行うことが可能となり、実験を実施してきた。2022年度予算によっても大規模実験を行い、再現性の高い結果の獲得に成功している。また、MRI実験のための実験パラダイムの開発も行った。1ヶ月に1回程度のペースでオンライン会議を開催し、結果の分析、考察を行い、国際学会にて報告も行ってきた。さらに、研究成果の論文化を進め、国際学術誌に投稿してきた。以上のように、オンラインでの実験、学会発表、国際学術誌への報告という方法によって、本研究は、研究計画に沿ってほぼ順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、実行機能課題遂行に及ぼす適応過程の検討行うため、大規模な実験を多数実施した。今後は、必要な実験を行いつつ、定期的なグループミーティングをもち、実験データを詳しく解析していく。コアとなる大規模実験から得られたデータに関しては、すでに論文化を進めて、一部にはすでに出版されているところであるが、今後も論文原稿を完成し、国際学術誌への投稿、出版を継続的に行っていく。実験による実証的検討と成果報告を通じた議論を踏まえた理論的精緻化を並行して行い、研究プロジェクトを推進していく。
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