研究課題/領域番号 |
20H01787
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
伊澤 栄一 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (10433731)
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研究分担者 |
茂木 一孝 麻布大学, 獣医学部, 教授 (50347308)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 情動 / カラス / 社会 / 絆形成 / 優劣関係 / 自律神経 / ホルモン / オキシトシン / 進化 / 内臓感覚 / ストレス / 鳥類 / 比較認知 / 自律神経系 / 痛み / 宥和関係 / 親和関係 / 脳 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトをはじめ哺乳類や鳥類の協力行動は,個体間の接近や接触で特徴づけられる宥和関係が基礎にある。宥和関係は個体間の緊張・競合関係の緩和を経て形成されるが、そのメカニズムは未解明である。本研究は,鳥類カラスを対象に,競合から宥和への変化における,脳-内臓回路の役割を明らかにする。[1]競合および宥和に関わる脳と内臓の生理活動,[2] 脳/内臓からの信号阻害による内臓/脳活動の検討,[3]非社会的な条件との比較の3点から取り組む。これらを通して,競合から宥和への変化が,脳-内臓回路のいかなる活動変化によるものか明らかにする。
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研究成果の概要 |
150年前にダーウィンが着目した動物の情動は,個体間の競合や協力を支える心的基盤として,哺乳類や鳥類,魚類にまで見出されている.本研究では複雑な社会行動が進化している鳥類カラスをモデルとして,個体間の緊張的および親和的な関係がどのように生じ,その生理学的基盤について実験検討を行った.その結果,2個体間に緊張作用には内臓感覚情報の関与を示唆する自律神経が介在し,親和的作用には,バゾプレッシン1a受容体による緊張作用の抑制が生じていることを見出した.本研究は,個体間の緊張が親和へと変化する過程に、脳-内臓回路を中心とした内分泌機構の関与が示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は,哺乳類とは独立な進化を遂げた鳥類において,初対面の個体同士に生じる緊張作用にどのような身体の反応が起き、次第に構築されていく親和関係にどのようなホルモン分子が関与しているのかを明らかにした.本研究は,私たちヒトとは全く異なる体のつくりをもつ鳥類のコミュニケーションにおいて,脳だけでなく身体の反応が重要な役割をもつことを明らかにした点で意義がある.この研究は,私たちが情動や感情とよんでいる心的機能がどのような社会生態(暮らし)と脳・身体のメカニズム(仕組み)の相互作用によって進化したのかという,心の進化起源の理解へとつながる研究である.
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