研究課題/領域番号 |
20H01819
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
米田 剛 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (30619086)
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研究分担者 |
後藤 晋 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (40321616)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 乱流 / エネルギーカスケード / Navier-Stokes乱流 / 機械学習 / 渦伸長 / Navier-Stokes方程式 / Euler方程式 / スケール局所性 / エネルギー散逸率 / 渦の階層性 / チャネル乱流 / 定常乱流 / -5/3乗則 / regularity criterion / zeroth-law |
研究開始時の研究の概要 |
乱流の数理的理解を飛躍させるために、乱流モデルを一切使わずに、非圧縮Navier-Stokes方程式そのものを使った大規模数値計算、及びその数値計算結果に対する純粋数学的洞察を進める。さらに、乱流実験も進め、そのNavier-Stokes乱流の数理的洞察そのものの妥当性を検証する。より具体的には、①3次元Navier-Stokes乱流のエネルギーカスケードのメカニズム解明②流体運動が乱流であるための重要な指標であるzeroth-lawの数理的理解③乱流実験データに基づく、①および②の数理的洞察の妥当性の検証、を進める。
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研究実績の概要 |
過去の研究:Yoneda-Goto-Tsuruhashi(2022)とTsuruhashi-Goto-Oka-Yoneda(2022)では、3次元Navier-Stokes乱流に対する研究が進められた。それらでは、大小隣り合うスケール間の渦によってエネルギーの受け渡しが主に行われていること、そのスケール分解された渦が-5/3乗則に対応するベキ則(渦軸の総長に対するベキ則)をロバストに満たしていることが示された。 そのことを踏まえた上で、2023年度(繰越年度)では、複数スケール間で同時に渦伸長が発生する場合を調べた(Jeong-Na-Yoneda, Nonlinearity)。より具体的には、3スケールの渦が混在している場合の渦伸長過程を調べるため、3次元非圧縮Euler方程式の解の振る舞いを観察した。その結果、3スケール間の複雑な相互作用によって、渦伸長過程がむしろ弱まることが数学的に証明された。この数学結果によって、渦伸長が2スケール間で起きていることがむしろ自然であることが示唆される。 2022年度以前の研究において渦軸の精密な可視化に成功しているので、今後は、その可視化データを機械学習させることで新たなる「乱流クロージャーモデル」を創出する計画である。そのための前段階として、時系列データに対する機械学習スキームを構築した。近年「リザバー機械学習」が、時系列データを機械学習させる際の有力な手法となりつつある。低コスト・圧倒的に短い計算時間が最大のメリットではあるが、リカレント結合重み行列などに乱数を使ってしまっており、そのことによって、学習モデルに内在するはずの数理構造が見えにくくなってしまっている。そこで、パターン記憶の構造を明示的に組み込んだ機械学習スキームを構築した。そのことから、乱流クロージャーモデル構築の際、その機械学習モデルを用いることで、非線形数理構造が抽出できることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
過去に創出したYoneda-Goto-Tsuruhashi(2022)とTsuruhashi-Goto-Oka-Yoneda(2022)こそ、当初に計画した主な達成目標の一つであった。3次元Navier-Stokes乱流におけるスケール分解された渦が、-5/3乗則に対応するベキ則(渦軸の総長に対するベキ則)をロバストに満たしていることが示された。これこそが「乱流の主要描像として、各スケールの渦軸を採用し、その渦軸の時間発展挙動を調べれば、乱流の数理的理解が本質的に深まるのではないか」という、当初計画した通りの研究成果が得られた形となっている。ただ、これは、今後更に続く壮大な研究に対する第一歩に過ぎない。乱流の各スケールの渦軸抽出に成功したので、そこから乱流の数理構造理解を深めるための前段階として、機械学習手法の洗練化に専念できた。これは前述のとおり、「各スケールの渦軸の抽出」という最もネックとなる部分が、当初予定より早く成功したことに起因している。
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今後の研究の推進方策 |
機械学習手法を駆使して、各スケールの渦軸の時間発展挙動を表す「クロージャーモデル」の構築、およびその数理的理解を目指す。より具体的には、パターン記憶の構造を明示的に組み込んだ機械学習スキームを構築したので、それを援用することにより、どういった渦軸形状の時間発展挙動がより小さなスケールへのエネルギー伝達に寄与しているのか(どういった渦軸形状・時間発展パターンがもっとも実現しやすいのか)を明らかにする計画である。 従来のリザバー機械学習を用いた乱流研究も進捗させることで、従来得られている機械学習結果・造詣との比較検討も進める。そのことによって、機械学習スキーム自体が暗に持っている(筈の)非線形構造抽出に対する数理的理解も深めていく計画である。
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