研究課題/領域番号 |
20H01824
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤堂 眞治 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10291337)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | マルコフ連鎖モンテカルロ / テンソルネットワーク / 計算物理 / 強相関多体系 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / 詳細つりあい / 量子モンテカルロ法 / 量子相関 |
研究開始時の研究の概要 |
マルコフ連鎖モンテカルロ法を基本原理から見直し、さらに深化させる。近年提案された、確率の埋め立てに基づく棄却なしモンテカルロ法、イベント連鎖モンテカルロ法など、詳細つりあいを破るマルコフ連鎖モンテカルロ法に共通する原理を見い出し、それを一般化することでより広い問題に適用可能なモンテカルロ法の新しい枠組みを構築する。さらに、相関の強い多体系に応用し、相関の効果が本質的な役割を果たす相転移現象や量子相を解明する。また、開発したアルゴリズムに基づくソフトウェアを整備し、分野の枠組みを超えたデファクトスタンダードとなりうるライブラリを公開する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、マルコフ連鎖モンテカルロ法を基本原理から見直し進化させることにある。さらに、相関の強い多体系に応用し、相関の効果が本質的な役割を果たす相転移現象や量子相の解明を目指す。 2022年度の実績は以下の通りである。 1) テンソルネットワークマルコフ連鎖モンテカルロ法: テンソルネットワーク表現とマルコフ連鎖モンテカルロ法を組み合わせた、全く新しいサンプリング手法を開発した。この手法では、テンソルネットワークにおける系統誤差が完全に取り除かれる。また、ボンド次元を増やすことで統計誤差を指数関数的に減らすことが示された。2) 局所ユニタリ変換による負符号問題の低減: 局所ハミルトニアンに注目し、最適な局所基底変換を導入することで、負符号問題の軽減に成功した。特に、Frustration-Freeと呼ばれる量子スピン系においては、先行研究では不可能であった最適解が得られるだけでなく、その他のモデルにおいても先行研究よりも優れた結果が得られた。3) 量子ダイマー模型の有限温度相転移: 確率級数展開(SSE)に基づく効率的なクラスター更新法により、定量的な相図を得た。特に、絶対零度でのコラムナーダイマー相が中間相なしにRK点まで伸びていることを強く示唆する結果を得た。4) プログラム開発・公開: 計算物質科学アプリ・ツールをおさめた統合パッケージ MateriApps LIVE!およびインストールスクリプト集MateriApps Installerについて、新しいアプリ・ツールの追加、OSのバージョンアップなど整備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
テンソル繰り込み群とマルコフ連鎖モンテカルロ法を組み合わせた手法の開発について、非常に大きな進展があった。全体としても、研究計画に挙げた基本原理の解明、アルゴリズム開発、強相関多体系への応用、大規模並列化、プログラム開発についても順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に大きな進展のあったテンソル繰り込み群とマルコフ連鎖モンテカルロ法を組み合わせた手法を中心にその高度化を進め、量子系や量子回路のシミュレーションへの応用を進める。その他、イベント連鎖モンテカルロ法の応用、負符号問題の解決、プログラム・ライブラリの開発と公開についても並行して研究を進める。
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