研究課題
基盤研究(B)
本研究課題では「巨視的な物質の多極子を一般的かつ定量的に特徴付けるにはどのようにすればよいのか」という極めて基礎的な問いに取り組む。この問題は数学的厳密性だけを追求した些末なものではなく、各種のネマティック相やトポロジカル絶縁体など、物性物理学において現在活発に議論されている諸問題の基礎に関わる重要な問題である。
今年度は、超伝導の電磁応答のゲージ不変性に関する研究成果と、フラストレーションがない1次元系における連続対称性の破れに関する研究成果という、大きく2つの成果が得られた。荷電粒子の系にゲージ場を結合させる際は、系のゲージ対称性に基づいてゲージ不変になるように結合の仕方を定めるが、超伝導のBdGハミルトニアンではU(1)対称性が破れているため、この方法が破綻してしまう。通常、運動項のkをk-eAに変更するなどの天下り的な方法でゲージ場が導入されるが、我々はこの手続きに曖昧さがあり、従ってマイスナー重みや光学伝導度などの計算結果に不定性が生じることを示した。実際、同じBdGハミルトニアンを導く一方でゲージ場に対する結合の仕方が異なるミクロな模型が複数あり、異なる光学応答を示すことを明らかにした。これとは別の話題として、フラストレーションがない1次元系における連続対称性の破れに関する研究も行なった。通常、ホーヘンベルグ・マーミン・ワーグナー定理により空間1次元の系ではU(1)対称性が自発的に破れないと考えられているが、強磁性ハイゼンベルグ模型では空間1次元でもスピン回転対称性が自発的に破れる。先行研究では、これは秩序変数とハミルトニアンが交換するためであると考えられていたが、今回の研究で我々は秩序変数とハミルトニアンが交換しない例を構成した。また、これらの模型に共通するより一般的な性質はフラストレーションがないこと、分散関係が線形ではなく二乗分散の励起をもつことであることを突き止めた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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