研究課題/領域番号 |
20H01845
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小澤 知己 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (80825993)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | トポロジカル物性 / 人工量子系 / 非エルミート系 / 量子計量 / トポロジー / チャーン絶縁体 / 非エルミート / 冷却原子 / 幾何学的効果 |
研究開始時の研究の概要 |
ベリー曲率など量子状態のパラメータ空間上での幾何学的効果は近年のトポロジカル物性研究の盛り上がりとともにその重要性が再認識されている。本研究ではベリー曲率とは異なる幾何学的構造である量子計量、およびそれらを統合した概念である量子幾何テンソルの物理的意味を探る。特に、量子幾何テンソルの多体系・非エルミート系への拡張と、トポロジーおよび局在との関係、冷却原子系や量子ビット系などにおける観測量への影響を理解することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究計画のサブテーマ「量子計量とトポロジーとの関係」に関連して、量子計量が運動量空間上で均一になるようなエネルギーバンドの実現には大きな制限があることを発見した。特にトポロジカル数であるチャーン数を与えると一つのパラメータを除き唯一に決まることを証明することに成功した。チャーン数が1でパラメータ(モジュラーパラメータと呼ばれる)が等方的な場合にこのバンドは最低ランダウ準位という一様磁場下の荷電粒子が従うよく知られたエネルギーバンドに一致することを証明し、チャーン数が2以上の場合にもそれに類似した状態が存在することを示した。また、これらの波動関数を書き下すことにも成功した。この結果に関しては本年度は論文投稿の準備段階である。 本研究計画のサブテーマ「非エルミート系における量子幾何テンソルの物理的帰結」に関連して、量子的な相互作用のある非エルミート系において相互作用によってトポロジカル相が誘起されるような模型を構築することに成功した。また、そのような模型を実験的に実現する方法も提案した。本結果については論文出版まで達成している。 また、非エルミート性のある2サイト系に関して実験家との共同研究を行った。この共同研究を通じて、非エルミート系のベリー位相を観測可能な形で定義することに成功し、実験でもそれを観測することができた。非エルミート性のある相互作用下での2サイト系の量子ダイナミクスを理論的・実験的に調べることにも成功し、これらの結果に関しては論文投稿に至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究費はあと一年を残すところとなったが、本研究計画のサブテーマ3つのうち2つ(「量子計量とトポロジーとの関係」と「非エルミート系における量子幾何テンソルの物理的帰結」)については概ね当初の予定を達成したと言って良いと考えている。残り一年でサブテーマの最後の1つである「量子計量と局在、特に多体局在の関係」を完成させることを目指す。この現状を鑑み、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題のサブテーマのうちまだ完成していない「量子計量と局在、特に多体局在の関係」を完成へと導くのが最終年度である今年度の目標となる。現状では、考察すべき模型の選定は概ね終わっている。あとは、この模型を用いた具体的な数値計算を通じて多体局在の転移を調べられることを示し、そこで量子計量がどのような振る舞いを示すのかを調べることになる。
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