研究課題/領域番号 |
20H01854
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松村 武 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 教授 (00312546)
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研究分担者 |
石松 直樹 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (70343291)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | キラル磁性 / 共鳴X線回折 / 超高圧 / 価数転移 / キラル磁性体 / らせん磁気秩序 / 空間反転対称性 / 圧力 / らせん磁性 / 中性子散乱 |
研究開始時の研究の概要 |
キラルな結晶構造を有する磁性体では,非自明な秩序構造がマクロスケールで出現する創発的なスピン秩序形成が起こる. これらの現象の起源にあるのが,対称性が低い結晶中でスピンや軌道の自由度が感じるねじれた反対称相互作用である.本研究では,近年新物質の発見が相次ぐf電子系らせん磁性を広く対象とし,磁気キラルソリトン格子に代表される非線形で創発的ならせん磁気構造とその動的状態を,放射光X線と中性子線を相補的に利用することでミクロに観測する.系の対称性を問わず,自然界に普遍的かつ本質的に潜むらせん形成機構について,電子間相互作用の立場から明らかにする.
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研究実績の概要 |
圧力下共鳴X線回折によるYbNi3Ga9のらせん磁気秩序と磁場誘起キラルソリトン格子の観測をねらった実験をSPring-8のBL19LXUで行った.小型ダイヤモンドアンビルセル(DAC)に,透過配置で共鳴X線回折を行うための厚さ15ミクロンの単結晶試料のヘリウムガス圧封入を完了し,10GPaの圧力をかけた状態で,加圧に伴う結晶性の劣化による格子基本反射のブラッグピーク幅の増大も見られない,良好な状況で行った実験であったが,残念ながら目的とする磁気回折ピークを見つけることはできなかった.磁気秩序の形成がまだ弱く,Braggピーク強度が観測に十分なものではなかった可能性がある.ただ,一通りの技術の蓄積ができたことは大きな進展であり,他の物質への展開に期待は持てる. 反転心を持たない正方晶化合物EuIrGe3について,円偏光X線を使ったサイクロイド磁気ヘリシティの観測を行い,単一ヘリシティになっており,反対称相互作用があることを見いだした.また,磁場によるドメイン選択が起こり,磁気相図におけるミクロな構造変化との対応関係を明らかにした.EuRhGe3については磁気回折ピーク探索,EuNiGe3については磁場中中間相での磁気構造解明のための実験を行った. YbNi3Al9については,育成に成功した大型単結晶を使った低エネルギースピン波励起の観測にを目的として,オーストラリアのANSTO中性子散乱施設で非弾性中性子散乱実験を行った.転移温度以下で基底状態が分裂することにより,1.2meVの励起ピークが出現することを観測した.分散関係を含め,データを解析中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧力下共鳴X線回折によるYbNi3Ga9のらせん磁気秩序の観測は不成功に終わったが,実験技術の蓄積があったことは大きな成果であり,今後の展開に期待が持てる.CeCoSiの隠れた秩序相における構造相転移の論文,EuIrGe3のサイクロイド磁気構造の論文,YbNi3Al9の結晶場励起に関する論文と,主要な成果をまとめた論文も出版され,理解が進んでいる.非弾性中性子散乱実験も磁気励起ピークが観測され,着実に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はEuNiGe3の磁場中中間相での磁気構造解明を第一目標とし,引き続き,放射光施設での共鳴X線回折実験に取り組む.EuIrGe3におけるc軸磁場中での磁気構造,EuRhGe3の磁気構造探索も行う. YbNi3Al9については,ANSTOでの冷中性子非弾性散乱実験を継続して行っていく.低エネルギー励起の分散関係をより詳細に調べるため,飛行時間法による波数空間全体の励起スペクトル観測を行うための課題申請をしている.また,磁場をc面内にかけて強磁性状態にしたときには通常のスピン波励起が観測されると考えられるので,その観測を目的とした課題申請も行っている.方位の揃った大型単結晶育成も継続して行う.c軸磁場方向でのコニカル磁気構造と原子変位に関する結果は論文にまとめる.
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