研究課題/領域番号 |
20H01857
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
浅野 泰寛 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20271637)
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研究分担者 |
田仲 由喜夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40212039)
水島 健 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (50379707)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2020年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
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キーワード | 超伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
物質表面や接合界面の存在、あるいは様々なポテンシャルのために超伝導凝縮体が変型を受けたときに現れるのが奇周波数電子対である。超伝導現象は平均場理論によってうまく記述できており、奇周波数電子対はその基礎方程式の解の一部をなしている。解の数学的記述には不可欠である一方、奇周波数電子対は、その性質や超伝導現象において担う役割に関して不明な点が多い。本研究の目的は、軌道や谷など電子系に自由度の多い超伝導体、トポロジカルに非自明な超伝導体の磁束芯、スピン軌道相互作用の強い銅酸化物超伝導薄膜の接合、において現れる奇周波数電子対の性質を明らかにすることである。。
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研究成果の概要 |
奇周波数電子対が超伝導現象に果たす役割を明らかにすることを目的として研究を実施した結果、以下のような成果を得ることができた。トポロジカルに非自明な状態であるボゴリューボフ・フェルミ面場の準粒子は必ず奇周波数電子対を伴うこと、対称性の低いs波J=3/2超伝導は磁化率に非対角要素を持つこと、2軌道超伝導やJ=3/2超伝導を記述する理論模型の多くが熱力学的に不安定な超伝導相を記述しており、その不安定さは奇周波数電子対の存在に起因すること、などである。さらに、異常近接効果はスピン3重項超伝導特有の現象ではなく、ゼロでないアッティア・シンガーの指数をもって特徴づけられることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で対象とした多自由度超伝導は、トポロジカルに非自明な絶縁相や半金属相を土台に発現していると考えられており、新しいクラスの超伝導だと認識され始めている。既存の超伝導と何が質的に違うのかを明らかにすることは、トポロジカル物質の物理学の重要課題の一つであると言える。 最近多自由度超伝導を表現する理論模型が調べられ始めているが、その特徴は多くの物質パラメータを含むことである。我々は、それらの模型の多くが熱力学的に不安定な超伝導相を記述していることを明らかにした。逆に言えば、実際の伝導体で発現する安定な超伝導を記述する模型が満たすべき条件を明らかにし解析の出発点を定めたことになる。
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