研究課題/領域番号 |
20H01859
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金澤 直也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10734593)
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研究分担者 |
平山 元昭 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (70761005)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
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キーワード | Zak位相 / トポロジー / 表面状態 / スピントロニクス / 電流誘起磁化反転 |
研究開始時の研究の概要 |
Zak位相と呼ばれる固体中の電子状態の幾何学的位相を設計することによって、スピンを用いた電子技術(スピントロニクス)に活用できる機能を持った物質を開拓する。注目している物質の表面においては、物質内部とは異なる電子状態が発現し、固有の伝導現象が期待できる。特に本研究ではこの新しい表面電子状態を舞台として、情報の担体となる磁化を、磁場ではなく電流によって制御する方法(電流誘起磁化反転)を実証する。実験・理論の両輪で研究を進めることによって表面電子状態やそのスピントロニクス機能の発現機構を明らかにする。
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研究成果の概要 |
電気分極の現代的理論体系の根幹を成すZak位相という量子位相の概念を応用して、新しいトポロジカル表面状態を開拓し、様々なスピントロニクス機能を設計できた。具体的には、FeSiという非磁性絶縁体の薄膜の合成に成功し、その表面においてZak位相由来の表面強磁性金属状態を発見した。特にFeSi表面はほぼ量子化したZak位相を有するため、大きな電気分極とそれに起因した強Rashba型スピン軌道結合が現れる。この特性を利用し、非相反電気伝導や電流誘起磁化反転を実現できた。さらに接合物質を適切に選択することで、表面の磁気状態・スピン軌道結合状態の制御が可能になり、電流誘起磁化反転機能の室温動作を実現した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Zak位相という新しいトポロジーの概念に注目することによって、FeSiという地球上にありふれた元素のみで構成された物質においてスピントロニクス機能を設計することができた。これにより既存のスピントロニクスデバイスの課題の一つである「希少な重元素の含有」の制約に囚われない、物質設計指針を提唱することができた。これらの成果は、急激に成長している情報化社会の電力消費・資源消費を究極的に抑制する要素技術に繋がる可能性を秘めている。また、論文[Science Advances, Advanced Materials など]、プレスリリース、特許申請としてまとめることができ、社会的にも広く情報発信できた。
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