研究課題/領域番号 |
20H01875
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤原 慶 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (20580989)
|
研究分担者 |
義永 那津人 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (90548835)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
|
キーワード | ソフトマター / 反応拡散系 / 細胞サイズ空間 / 人工細胞 / 合成生物学 / 時空間パターン |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内反応拡散波は、非線形波が細胞サイズの閉鎖空間を移動する点に特徴があるが、微小サイズと閉鎖性ゆえに実験系の確立が困難であった。しかし、申請者らが確立した「人工細胞内で細胞内反応拡散波を発生させる系」により実験と理論を対応させた研究が展開可能となっている。そこで本研究ではこの系を利用し、細胞の時空間構造の物理や、細胞サイズ空間で創発される特異な現象の理解から、生命の細胞サイズの空間における時空間パターン形成原理を導く。
|
研究実績の概要 |
人工細胞を用いた実験系と、実モデルと縮約変数モデルの反応拡散方程式を用いた理論系を組み合わせ、生命の時空間パターンを決定する細胞内反応拡散波の物理を完成させることを目的としている。これまでバクテリアの細胞分裂面を決定するMinタンパク質系を用いて、その反応拡散波(Min波)を人工細胞内にて安定的に発生させる実験系の構築に成功し、(1)人工細胞の直径と波の形状・速度に相似性が現れること(空間相似性)、(2)球形人工細胞では楕円形の生細胞で見られる極間振動波でなく移動波が主となること(形状依存性)、(3)反応パラメータの変動に対して、波の性質が安定であること(性質の安定性)を見出していた。
本年度は主に(2)に関して研究を進めた。球形人工細胞においても極間振動波が安定的に存在することに注目し、どのようなパラメータで極間振動波が安定して出現するかを検討した。結果、MinDの膜結合と膜解離のバランスが釣り合い、膜解離が優勢となりパターンが消失する転移領域の近傍において極間振動波が出現することが示された。また、パラメータバランスを大きく変化させる温度変化により、極間振動波と移動波を遷移させることに成功した。同時に、これらの波のモード転移にはヒステリシスが見られることを示した。これらの内容は論文として投稿し、現在改訂中である。
(1)と(3)についても空間相似性にともなう波長の固定化が(3)で見られる波の性質の安定性の理由であることを見出した。理論と合わせ、現在論文執筆中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ほぼ全ての項目が完成に近づき、さらには当初の想定になかった局在波と移動波のモード切替における重要な知見を得たため。
|
今後の研究の推進方策 |
実験では形状依存性の理解を一番のターゲットとして進める。また、得られた結論を論文にまとめると同時に、付随して発見した現象についても研究を遂行する。
|