研究課題
基盤研究(B)
磁気リコネクションの物理は、電子スケールの微小領域における異常拡散とイオンスケールの磁場・プラズマエネルギー変換過程を理解する必要がある。本研究では、レーザー生成プラズマ中で磁気リコネクション駆動する。プラズマ発光計測や干渉計測でイオンスケールのプラズマ挙動を、陽子ビームを用いてリコネクション磁場を可視化し、磁場拡散領域周辺の磁場を計測する。新たに開発する二次元トムソン散乱計測を用いて磁場拡散領域と、その上流・下流のプラズマを局所的に計測することで、リコネクション率とプラズマ加熱・加速との関係を明らかにする。
レーザー生成プラズマ中で磁気リコネクションを駆動し、プラズマ発光計測で磁化プラズマ挙動の膨張と衝突の様子を、二方向のレーザートムソン散乱法を用いて電子・イオンの速度分布関数を計測することで、リコネクション率とプラズマ加熱・加速との関係を評価した。レーザースポット間に磁気リコネクションを駆動し、トムソン散乱法によってプラズマ加熱・加速を定量的に明らかにした。また、レーザースポット間隔を変更することで上流プラズマや磁場パラメータを変更した実験も行い、リコネクション率が上流パラメータに大きく依存せず、0.1程度になることがわかった。加速電子の検出にも成功したがその解釈は今後の研究に引き継いでいる。
レーザーを用いた磁気リコネクション研究は、これまでの磁場閉じ込めプラズマ、太陽観測、衛星のその場計測に加え、代替手段になり得るが、これまでは詳細なプラズマ計測の不足から、定量的な評価が難しかった。本研究の成果は、レーザーを用いた室内実験でも磁気リコネクションを定量的に検証できることを示している。宇宙プラズマ、核融合プラズマ、磁気圏プラズマ等様々な分野で共通の物理であり、代替研究手法としてレーザープラズマを用いたリコネクション研究が発展すれば、未知のリコネクション物理の解明につながると考えられる。
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