研究課題/領域番号 |
20H01908
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 正俊 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (30400435)
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研究分担者 |
松田 洋平 甲南大学, 理工学部, 准教授 (50569043)
秋宗 秀俊 甲南大学, 理工学部, 教授 (60319829)
川畑 貴裕 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (80359645)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
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キーワード | トリプルアルファ反応 / 中性子非弾性散乱 / 元素合成 / 単色中性子源 |
研究開始時の研究の概要 |
ヘリウムから炭素を生成する過程であるトリプルアルファ反応は、宇宙における元素合成過程において最も重要な反応の一つである。このトリプルアルファ反応が、高温・高密度下の恒星中において中性子が反応に関与することで、反応率が著しく増大する可能性が指摘されており、問題となっている。 本研究では、元素合成に大きく影響する反応しきい値エネルギー付近において炭素12の中性子非弾性散乱を測定するため、エネルギーが10MeV前後の新しい手法を用いた単色中性子源を開発し、中性子の非弾性機構によるトリプルアルファ反応の反応率を高精度に決定することで、宇宙の元素合成過程の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、高温・高密度の環境下におけるトリプルアルファ反応の中性子の非弾性機構による増幅率を決定するために10MeV領域の単色中性子源を開発した。開発では、中性子源に用いる候補となる反応からの中性子ビームの性質を評価し、1H(13C,n)反応が最適であることを確認した。最終的に、2.2×10^7 n/sr/secのビーム強度で10MeVの単色中性子を安定に供給できることを確認した。中性子非弾性機構による増幅率を決定するため、10MeV中性子源を用いて、炭素の中性子非弾性散乱測定システムを構築した。測定では、中性子との弾性散乱のピークを確認し、統計を上げることで正しく測定できることを確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
宇宙において元素がどのようにして作られたかを知るために、ヘリウムから炭素を合成するトリプルアルファ反応率を高精度で決定することが求められている。本研究では、これまで実験データのなかった低エネルギー領域における炭素の中性子非弾性断面積を測定することで、その精度を向上させることを可能にした。本研究で開発した10MeV単色中性子源はこれまで実用化されていなかったエネルギー領域の単色中性子源であり、本研究だけでなく、さまざまな中性子非弾性散乱の測定や応用研究にも使用でき、周辺分野にも大きく影響を与えることができるであろう。
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