研究課題/領域番号 |
20H01916
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
奥村 曉 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 講師 (90645011)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | ガンマ線 / 宇宙線 / 半導体光検出器 / CTA / チェレンコフ望遠鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、宇宙ガンマ線の観測エネルギー帯域を従来より1桁拡大することである。圧倒的にフラックスの低い100TeV超のガンマ線を高統計で観測する手段を提供し、1. 陽子や鉄原子核などの宇宙線ハドロン成分を1PeV以上に加速する銀河系内天体の発見(銀河中心、超新星残骸など)、2. 同じく10の20乗eV超まで宇宙線を加速する銀河系外天体の候補の発見(活動銀河核など))の2つを将来的に可能にする。これにより、銀河系内・系外での宇宙線加速天体を担う天体は何かという問いに、最終決着をつけることを目指す。この目的のため、本研究では次世代ガンマ線望遠鏡CTA計画の焦点面カメラの開発を進める。
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研究実績の概要 |
本研究は次世代の地上ガンマ線望遠鏡CTAの完成を目指し、CTA小口径望遠鏡の焦点面カメラの開発、小口径望遠鏡光学系の開発、およびデータ解析や天体解析シミュレーションを進めるものである。過年度の実績は主に以下の通りである。1)焦点面カメラで使用する半導体光検出器の長期安定性試験の予備試験および評価用電子回路基板の制作、2)焦点面カメラ保護窓の多層膜フィルターのシミュレーション、3)小口径望遠鏡の角度分解能を向上させるためのデータ解析手法の開発、である。半導体製品の世界的な供給不足のため、1)では半導体の評価試験にまで移行できなかったものの、予備的な試験で測定系の性能が問題ないことを確かめた。また2)では宇宙線・ガンマ線望遠鏡用の光学系シミュレータに多層膜干渉計算機能を追加することで、コーティング業者との開発を進めることができた。同時に、将来のガンマ線観測実験で使用する多層膜技術の検討を進めることが可能になった。また3)では、特に100 TeV付近の高エネルギーガンマ線の解析手法を従来手法から変更し、焦点面視野からはみ出した大気チェレンコフ像からの到来ガンマ線情報の抽出(エネルギーおよび到来方向)を向上させられることを示した。これは視野内の光子情報だけに頼らず、最尤法を用いて視野外の光子分布を推定する手法である。以上の3つの研究内容を中心として、CTA小口径望遠鏡の開発を国際共同で進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスによる渡航制限や半導体の供給不足に見舞われたたため、その影響が現在も続いている。海外共同研究機関への長期滞在ができなかったことによりソフトウェア共同開発や装置較正作業を共同で進めることが困難であった。また半導体不足により装置開発全体が遅延し、今もその遅れは全体的に取り戻せていない。国内で進められる回路制作やその性能評価、またシミュレーション研究などを発展させることができた。一方、パンデミック発生前の当初計画に比べると全体として遅延したままである。
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今後の研究の推進方策 |
焦点面カメラで使用する新型のカメラモジュールおよび半導体光検出器が2022年度末に完成したため、期間延長後の最終年度である2023年度は、これらの性能評価やソフトウェアの開発を進める。また海外渡航の制限も緩和したため、国外共同研究者との連携も活発に進める予定である。特にドイツマックスプランク核物理学研究所への渡航や、大学院生の派遣などを進めることで、カメラモジュールの性能試験や焦点面カメラの較正手法の検討を行う予定である。
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