研究課題/領域番号 |
20H01924
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三木 謙二郎 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (80727090)
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研究分担者 |
波多野 雄治 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (80218487)
今井 伸明 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (80373273)
上坂 友洋 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (60322020)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | 中性子多体系 / 不安定核 / RI標的 / 荷電交換反応 / 三重水素 / 不安定原子核 / 少数核子系 / 高アイソスピン / 多中性子系 |
研究開始時の研究の概要 |
中性子多体系の性質を明らかにすることは、近年の原子核・天体物理学の最重要課題の一つである。本研究では、高密度三重水素標的と大強度三重水素ビームを武器として、中性子多体系の性質を根本から明らかにしたい。具体的には、三中性子系の生成実験、三重水素弾性散乱実験等の測定を通して、低密度から高密度に至るまでの中性子多体系の振る舞いを原子核物理実験の立場から定量的に明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
本研究では、高密度三重水素標的を開発するとともに、それと大強度三重水素ビームとの間での原子核反応測定を行うことで、高アイソスピン系における根本的なデータを取得することを目的としている。 本年度は特に理化学研究所RIビームファクトリー施設でのビームタイム遂行を重点的に実施した。必要となる検出器、真空装置を配備した上で、実際に実験を実現することができた。実験の概要は以下の通りである、200MeV/uまで加速したヘリウム4原子核をベリリウム9標的に照射し、生成された核種の中から、170MeV/uの三重水素ビームを破砕片分離装置BigRIPSにより単離した。得られた二次ビーム強度は50MHzであり史上最高の強度である。このビームを我々が2020年度に開発した高密度三重水素標的に照射し、標的から核反応によって散乱される粒子を磁気分析装置SHARAQによって運動量分析した。特にヘリウム3原子核を観測し、質量欠損法を用いることで、三中性子系の励起エネルギーを決定した。具体的には散乱角度0-3度、励起エネルギー<20MeVの範囲に渡って3H(t,3He)3n反応のスペクトルを取得することに成功した。また同じ実験の中で1H(t,3He)1n反応、2H(t,3He)2n反応のスペクトルも取得することで、一中性子系、二中性子系、三中性子系を同じ土台で議論できる首尾一貫した実験データを提供することを可能とした。実験終了後、直ちにデータ解析に取り掛かっているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度にはCOVID-19問題が発生し三重水素標的の開発スケジュール等に大きな影響があったが、適宜作業手順を工夫することで対処することができた。実際に予定通り本年度に理化学研究所でのビームタイムを遂行することができており、順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に理化学研究所で取得した実験データの解析を推進する。中性子多体系反応についての微分断面積を決定し、理論計算との比較も交えて高アイソスピン系の理解を深める。また、実験装置のさらなる改良を進める。特に、三重水素標的については、引き続き製作方法や再利用方法の検討・開発を推進する。
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