研究課題/領域番号 |
20H01932
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮武 広直 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (20784937)
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研究分担者 |
西澤 淳 名古屋大学, 高等研究院, 招へい教員 (70402435)
横山 修一郎 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 助教 (80529024)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 観測的宇宙論 / 宇宙の大規模構造 / 重力レンズ / 銀河サーベイ / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙の加速膨張は現代物理学における最大の謎の一つである。加速膨張は未知の暗黒エネルギーによって引き起こされているとする一方で、アインシュタインの一般相対性理論の修正が必要だとする指摘もある。本研究では、すばる望遠鏡Hyper Suprime-Cam(HSC)による広視野深宇宙撮像銀河サーベイの最終年度のデータを用いて弱重力レンズ効果を測定することで、世界最高精度で宇宙の加速膨張の性質を測定し、暗黒エネルギーの性質及び修正重力理論の兆候に制限を課すことを目指す。そのために、機械学習を用いて観測的系統誤差を低減し、修正重力理論を考慮に入れた弱重力レンズ観測量のモデルを構築する。
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研究成果の概要 |
HSCによる撮像銀河サーベイによるデータ取得の終了は天候不良などにより2020年から2021年に延期された。そのため、本研究課題では、中間データを用いた解析に注力した。宇宙論的弱重力レンズ効果に加えて、SDSS BOSSの分光銀河サンプルを用いた銀河弱重力レンズ効果、銀河クラスタリング効果を測定することにより、より高い精度で宇宙論パラメータ、特に宇宙構造の凸凹度合いを表すパラメータS8に制限を付けることに成功した。HSCの最終データ解析は最終年度前年度によって採択された基盤研究(A)「超大規模撮像銀河サーベイ群を用いた標準宇宙論の徹底検証」に発展的に引き継がれた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題で得られたS8の値は競合する弱重力レンズサーベイである米国のDES、欧州のKiDSと整合的である一方で、Planck衛星による宇宙マイクロ波背景放射の揺らぎの測定から得られたS8の値と比べて小さい。これは宇宙の大規模構造から測定したS8と宇宙マイクロ波背景放射から測定したS8に食い違いがあることを示唆しており、ΛCDM標準宇宙模型の綻びが見えている可能性がある。これはS8テンションと呼ばれ、世界中の観測的宇宙論の専門家がその原因を探っている。HSCの最終データ解析と2020年代の超大規模銀河サーベイによって、S8テンションが真かどうか検証することができる。
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