研究課題/領域番号 |
20H01939
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
市川 幸平 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (40756293)
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研究分担者 |
山下 拓時 国立天文台, ハワイ観測所, 特任研究員 (20800759)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 超巨大ブラックホール / ブラックホール / X線 / 可視光線 / 活動銀河核 / 赤外線 / 電波 / 可視光 / 電波銀河 / すばる望遠鏡 / 多波長観測 |
研究開始時の研究の概要 |
膨大な質量を持つ超巨大ブラックホールと恒星質量BHとの5桁におよぶ大きな質量ギャップは未だ埋まっておらず、その質量獲得の起源大きな謎のままである。本研究では、100平方度以上の幅広い領域を探査したすばる望遠鏡/HSCサーベイとVLA/FIRST電波サーベイのデータを掛け合わせることで見つかったmassive BH候補天体に対して、多波長フォローアップ観測を国際協力のもと実施する。そして、mBH 天体を倍増させ、その激しい成長率とその母銀河に与える影響までを調査し、謎に包まれていた mBH からSMBHへの成長変遷期を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、研究計画で最も大事であったeROSITA X線衛星のeFEDS内部データがメンバーにシェアされ、その解析を雇用したポスドク研究員とともに行った。その解析内容は大きく2つに分かれる。1つ目は、すばる望遠鏡HSCのSSPサーベイで取得した幅広く深い可視光撮像データとWISE赤外線衛星をクロスマッチすることで発見されたDust Obscured Galaxies (DOGs) というダストに埋もれた活動銀河核に対して、eFEDS X線カタログをさらにマッチさせて、今までに類を見ない統計数のX-ray DOGsカタログの作成である。これは雇用したポスドク研究を中心として解析が行われ、おおよそ100天体ほどのX-ray DOGsが発見された。これらの天体は活動銀河核の初期フェイズにいる銀河とされているため、X線情報が手に入ることにより初めて周辺のガスの量を見積もることが可能となる。本研究は現在解析を続け、2022年度の論文投稿を目指している。2つ目は、同じくすばるHSC SSPサーベイとVLA/FIRST電波サーベイをかけ合わせて発見された電波銀河のX線の性質を調べるものである。具体的には、発見された電波銀河とeFEDS X線カタログをマッチングさせることにより、今までX線では発見されてこなかった宇宙遠方の電波銀河のX線の性質を調べることが可能となった。この解析により、今まで発見されてこなかった天体種族も見つかってきている。本研究は研究代表者が主として解析をリードし、論文ドラフトの回覧も済み、2022年度上半期中に論文投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はコロナ禍の発生によりeROSITA X線衛星のeFEDSカタログデータの内部公開が大きく遅れ、当初予定の2020年度中のスタートはできなかったものの、本年度に解析を始めその遅れを少しずつ取り戻しつつある。その結果、大きく2つのプロジェクトがまとまりつつあり、2022年度中に論文投稿ができそうなところまでこぎつけた。その一方で、eFEDSカタログデータの内部公開が後ろにずれ込んだことにより、eROSITAのさらに広い全天サーベイカタログについてもその解析が後ろにずれ込んでおり、内部データの公開が2022年初頭となってしまった。全体の多波長カタログが揃うのは2022年度中旬とされており、当初予定していた全天サーベイを用いた解析のスタートは当初予定よりも半年以上後ろにずれ込むこととなったことから、「やや遅れている」という区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の方針は大きく2つある。1つ目は、解析が進んだeFEEDS X線カタログを元とした論文の2つの投稿、そしてacceptまでを持っていくことである。2つのプロジェクトについてはすでに大きな方針となる結果はでているため、実現可能性は高い。そして、2つめは、新たに手に入るeROSITA全天サーベイデータの解析を進めることである。本データはeFEDS 140平方度から約2万平方度と、そのデータは100倍近くとなり、データ量が膨大であることがその特徴である。そのため、いままでの解析手法のみではすべてを見ることはほぼ不可能であれば、データ解析をリードしているMPEと密に連絡を取り合うことが肝要である。必要であれば、雇用研究員あるいは代表者がMPEにて滞在し、解析をリードさせる必要がある。
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