研究課題/領域番号 |
20H01955
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
土屋 史紀 東北大学, 理学研究科, 准教授 (10302077)
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研究分担者 |
大矢 浩代 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (00241943)
西山 尚典 国立極地研究所, 先端研究推進系, 助教 (00704876)
芳原 容英 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (10303009)
三好 由純 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (10377781)
田所 裕康 千葉経済大学, 経済学部, 准教授 (40582797)
水野 亮 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (80212231)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 放射線帯 / 中間圏 / 高エネルギー電子 / プラズマ波動 / 磁気圏 / 電波伝搬 / オゾン |
研究開始時の研究の概要 |
磁気圏のなかで加速された電子が双極子磁場に閉じ込められた領域を放射線帯と呼ぶ。放射線帯の電子が地球大気へ降下する現象は、放射線帯の重要な損失過程であると同時に、中層大気に化学的な影響を及ぼすことから、この発生機構の現象の解明は、宇宙物理学・大気化学の双方で重要な研究課題となっている。本研究は、放射線帯電子が中層大気に降下することで生じる電離を検出する地上低周波電波観測を中心に、両分野の研究課題をつなぐ取り組みを行う。低周波電波観測をオーロラ観測・あらせ衛星観測と連携し、放射線帯電子の降下機構の解明を目指す。ミリ波分光観測と連携し、電子の降下が中層大気へ及ぼす化学的影響を実証する。
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研究実績の概要 |
惑星周辺の宇宙空間における高エネルギー粒子の生成・消失過程と、その高エネルギー粒子が惑星大気に及ぼす影響の理解は、太陽系の複数の惑星に跨る研究課題である。本研究は地球を対象に、放射線帯電子の大気への降下を引き起こす物理過程はなにか(課題A)、放射線帯電子の降下は中層大気に如何に影響を及ぼすか(課題B)、の二つの研究課題について実証的なアプローチにより取り組む。 課題Aでは、放射線帯電子の降下を観測する低周波電波と低高度衛星、及びオーロラ・磁場の地上観測の連携により、放射線帯電子の散乱を担うホイッスラーモード波動と電磁イオンサイクロトロン(EMIC)波動を特定しながら大気への電子の損失を観測した。 ホイッスラーモードコーラス波動の間欠的な発生により電子降下のバースト現象(マイクロバースト)が発生していること、電子降下が磁気嵐に発生頻度が高くなり、発生領域が朝側の偏ることを明らかにした。EMIC波動の発生が放射線帯外帯の損失と良い対応を示す事例について、地上多点観測、RBSP衛星、POES衛星、GNSS-TECを使った詳細な解析を行った結果、IPDPタイプのEMIC波動は発生域が放射線帯の外側から内側に動くことによって、幅広い領域で電子の損失を引き起こす可能性を指摘した 課題Bでは、高エネルギー電子降下により中間圏で生じる電離と、電離による低周波電波伝搬の変調を、大気の電離モデルと電波伝搬モデルを用いて再現することに成功した。このモデル計算を用いて、EMIC波動による電子降下現象では、MeV帯の電子が大気に降り込んでいることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響で海外出張が困難であったことから、北欧におけるオーロラ・ミリ波分光観測との観測連携を強化するための、フィンランド北部への受信点の新設は次年度に延期することとなった。一方、低周波電波観測、ミリ波観測、オーロラ観測装置の校正作業・性能向上開発を優先して行い、研究計画の遅延を最小化する工夫を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の流行による海外渡航制限の緩和に従って、海外への低周波電波装置の機器設置を進めるとともに、既存の低周波電波装置のデータを用いた解析やモデル計算を進め、科学的成果の創出・公表をすすめる。
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