研究課題/領域番号 |
20H01962
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
西山 尚典 国立極地研究所, 先端研究推進系, 助教 (00704876)
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研究分担者 |
鍵谷 将人 東北大学, 理学研究科, 助教 (30436076)
土屋 史紀 東北大学, 理学研究科, 准教授 (10302077)
津田 卓雄 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90444421)
岩佐 祐希 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (90838947)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 短波長赤外光学観測 / オーロラ / 大型レーダー / 大気光 / 北極上部中間圏 / 短波長赤外 / 分光 / 北極環境 / 中間圏界面 / 装置開発 / 近赤外分光 |
研究開始時の研究の概要 |
古くよりオーロラの光学観測(カメラや分光器)は,太陽と宇宙空間,地球超高層大気(高度80-500km)の相互作用の理解にとって重要な役割を果たしてきた.しかし,空の明るい「昼側」の オーロラの計測に対して未だ有効な手段がないのが現状である.本研究の目的は,従来の可視光に代えて近赤外波長で発光するオーロラの計測を達成する事で,昼側の超高層大気への太陽・宇宙空間からのエネルギーの流れの特徴を解明する事である.申請者が開発した分光器と本課題で製作するカメラを用いた近赤外地上観測によって,昼側オーロラのエネルギー量,空間範囲そして時間スケールなどをレーダーや電波観測を組み合わせて定量的に導出する。
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研究実績の概要 |
2022年11月に短波長赤外(1.1-1.3μm)に感度を持つ高分散分光器を,ロングイヤビエンのThe Kjell Henriksen Observatory (KHO)の光学ドームへの設置を完了した.また,分光観測の補完のため波長1.1μm における単色カメラも分光器と同じドームに設置・観測を開始している.設置終了後から,2023年3月末現在で大きなデータ欠測なく運用しており,分光器は2023年5月初頭,カメラは2023年4月初頭まで観測継続予定である.また,2023年1月22日および23日にはEISCAT Svalbard radar (ESR)の特別実験を実施し,光学機器との同時観測を行った.分光器は観測波長と波長分解能の異なる4つのモードを有しており,3つのモードにおいてオーロラ発光を合計10例程度観測することに成功している. 2023年1月21日の観測では,18:45UT前後にオーロラの活動度が上昇し,分光器の高分散モードによって時間分解能30秒で非常に強いN2+分子イオンのMeinel(0,0)バンドの発光が検出された.発光強度は最大で40kRを超えており,イメージャーで撮像されたバンド状のオーロラ発光の時間発展や絶対強度と整合的である.短波長赤外オーロラにおける分光及び単色イメージングの同時観測例は今まで無く,現在初期結果として論文執筆中である. 2022年11月24日の観測では,OH大気光の(7,4)及び(8,5)バンドに加えて,O2のIRバンド(1.27 um)をのスペクトルを高いS/Nで検出し,この晩では,1晩平均温度の推定における観測誤差がOH(7,4) で 16.5K 程度,OH(8,5) で 2.0K程度であった.OH(8,5)バンドについては,10分の時間分解能で5K程度の誤差で温度導出が可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで開発・試験してきた分光器および単色カメラのKHOへの設置が完了し,無事に観測を開始できた.世界で初めて波長1.1 umのN2+分子イオンオーロラの分光およびイメージングによる同時観測を達成するなど,高品質のデータを順調に取得できている.
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今後の研究の推進方策 |
今後はESR同時観測イベントに着目し,発光プロセスに未解明な点が多いN2+分子イオンの1.1 um帯オーロラの発光高度や降下粒子のエネルギー分布を定量的に推定する.分光器のデータにおける薄明時の背景光の除去手法を確立させ,薄明時/日照時のオーロラ検出に取り組む.また,オーロラ発光スペクトルにN2+分子イオンの回転運動に起因する微細構造が確認できているため,理論モデルとの比較からN2+分子イオンの回転温度の導出に取り組み,オーロラ発光高度における大気温度の導出やジュール加熱の寄与について議論を進める予定である.
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