研究課題/領域番号 |
20H01970
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
田口 文明 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (80435841)
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研究分担者 |
中村 尚 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (10251406)
西井 和晃 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50623401)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | spiciness / 北太平洋十年規模変動 / 海氷変動 / アンサンブル大気大循環モデル実験 / 大気海洋結合モデル実験 / 海洋熱波 / 亜表層の水温・塩分異常 / 大気海洋相互作用 / 大気大循環モデル / 東方伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
2014-16年、北太平洋東部に於いて、過去の観測に例を見ない顕著な昇温が起き、周辺の海洋生態系に大きな影響を及ぼした。この海洋「熱波」に伴う海表面での昇温は 2016 年末に終息したが、海洋亜表層まで浸透した高水温異常は 2018年まで持続した。本研究では、亜寒帯北太平洋に特徴的な、密度の偏差を打ち消し合う水温と塩分 (spiciness) の十年変動と「熱波」の相互作用という新しい視点に基づき、海洋亜表層に潜った「熱波」の痕跡である spiciness 偏差の生成・増幅過程 と、それが海面水温や海氷変動、さらに大気へ与える影響を評価し、亜寒帯域の大気海洋フィードバック過程を探究する。
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研究実績の概要 |
交付申請時に記載した2021年度の実施計画における3つの課題について、研究実績概要はそれぞれ次の通りである。
課題 1 局所的に生じる水温・塩分偏差と、西方から移流されてくる 塩分(spicinessw)偏差との関係:Argoフロートによる水温・塩分の観測データ、及び海洋再解析データの解析を継続し、海面および海洋亜表層において、水温と密度補償する塩分偏差(spiciness)が、およそ十年の時間スケールで、再帰的に北太平洋中緯度域を西岸域から東方伝播していることを見出した。海外共同研究者とオンラインで議論を行い、解析のまとめの方針を固めた。 課題2,3「熱波」の大気および気候への影響評価:昨年度実施した大気大循環モデルを用いた海面水温偏差に対する感度実験を拡張し、2010-11年、2013-14年、2019-20年冬季の事例についても実験を行った。2013-14年および2019-20年冬季については、観測される大気循環偏差の一部は海面水温偏差によって駆動された可能性を確認した。結果について、海外共同研究者とオンラインで議論を行い、論文執筆の構想を固めた。
また、近年特に水温上昇が顕著な日本海の貯熱量の長期変化傾向についての研究も開始した。船舶による歴史観測データと海洋大循環モデルによる過去再現シミュレーションデータを解析することにより、日本海全域で平均した700m貯熱量偏差で見た日本海の昇温は単調ではなく、1980年代後半に顕著なjumpを示すことを見出した。さらに、この日本海貯熱量のjumpと同期して、日本南岸黒潮域の貯熱量にも急激な上昇がみられ、この同期のタイミングは、太平洋中部から西方伝播する傾圧ロスビー波が日本沿岸に到達するタイミングと一致することを見出した。これに関連する冬季日本海上での高像度海面水温データの大気再解析への影響についても解析し、学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時に設定した課題のうち、海外共同研究者とともに進める予定であった海洋熱波の気候影響の解析は、COVID-19感染拡大による海外出張延期のため翌年度に持ち越すこととなったものの、あらたに日本海の昇温について解析を進めた。本課題と広い意味で関連するテーマに関して、研究代表者・分担者が主著または共著となる6本の査読付き論文を出版した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初の研究対象である東部北太平洋域に加えて、近年水温上昇が顕著な日本海での海洋熱波の研究にも注力する。
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