研究課題/領域番号 |
20H01972
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
森本 昭彦 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (80301323)
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研究分担者 |
郭 新宇 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10322273)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
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キーワード | 底入り潮 / 栄養塩動態 / 潮汐フロント / 豊後水道 / 栄養塩供給 / 低次生態系モデル / 超音波多層流速計観測 |
研究開始時の研究の概要 |
九州と四国の間に位置する豊後水道では、夏季を中心に底層において太平洋から低温で高栄養な水塊が突発的に流入する底入り潮という現象が起こる。その発生周期などは調べられているものの、発生メカニズムについてはほとんど分かっていない。本研究では、豊後水道南部の陸棚縁から中央部の海底上に超音波多層流速計などの観測機器を係留すると同時に、係留点上を船舶観測することで、底入り潮発生時の力学バランスと、底入り潮の豊後水道内への進入過程を明らかにする。さらに、観測時の物理場を高解像度モデルにより再現することで底入り潮の3次元的な構造の把握も行う。
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研究実績の概要 |
四国と九州の間に位置し太平洋に面した豊後水道では、成層する夏季を中心に陸棚斜面付近の低温で高塩分な水塊が間欠的に豊後水道底層へ進入する底入り潮と呼ばれる現象が発生する。底入り潮の存在は1990年に初めて報告され、その後の研究で発生頻度など現象の特徴や、底入り潮が豊後水道の低次生態系へ与える影響などは報告されているものの、未だこの現象の発生メカニズムは分かっていない。発生メカニズムに関する研究が進まない大きな理由は底入り潮を直接捉えたデータ、特に流速データがほとんどないためである。 今年度は、豊後水道の3か所に海底設置型の超音波多層流速計と水温塩分計を係留し、底入り潮発生時の流動場の時空間変動を捉えることと、繰り返し船舶断面観測を実施し底入り潮発生時の水温、塩分等の変化を時間的に連続で捉えることを目標とした。 超音波多層流速計は、豊後水道中央部に3月~10月の間1台を、豊後水道南部の陸棚斜面付近には5月~8月の期間に2台を係留し、3台とも機器の回収に成功し計画通りのデータを取得することができた。超音波多層流速計の係留期間中に12回の底入り潮が観測された。また、3台の超音波多層流速計が同時に観測している期間には、7回の底入り潮が観測でき陸棚斜面の冷水の進入速度を明らかにすることができた。7月29日~8月4日、8月23~29日に実施した繰り返し船舶観測では、どちらの期間でも底入り潮の発生を捉えることに成功した。底入り潮の発生の時空間変化が詳細にとらえられたのは今回が初めてであり、また、船舶観測と係留流速観測の両方で底入り潮を捉えられたことで、底入り潮発生時の力学バランスの変化を調べることが可能となった。現在の詳細な解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
豊後水道内の3か所での超音波多層流速計観測を予定通り実施し、底入り潮の発生を12回捉えることができた。最も難しい観測であったいつ起こるかわからない底入り潮の発生をを船舶観測で捉えることに2回も成功した。本研究で目標としていた観測データをすべて得られたことから研究は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られたデータの解析を進め、陸棚斜面域での冷水の北上と豊後水道中央部での底入り潮の発生の関係を明らかにするとともに、底入り潮発生時の力学バランスの時間変化を調べ、底入り潮の発生メカニズムを観測データから示す。さらに、数値生態系モデルを使い、底入り潮により豊後水道へ供給された栄養塩等の物質がどのように瀬戸内海へ広がっていき、低次生態系の中で循環しているのかを明らかにする。
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