研究課題/領域番号 |
20H01990
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂本 直哉 北海道大学, 創成研究機構, 助教 (30466429)
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研究分担者 |
飯塚 毅 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70614569)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | 同位体顕微鏡 / 二次元イオン検出器 / 高ダイナミックレンジ / 水素 / 惑星 / イメージング / 同位体 / 質量分析 |
研究開始時の研究の概要 |
惑星を構成する主要鉱物に含まれる水素の量は非常に少ないにも関わらず、莫大な体積を占めるために、微小な分析値の違いが惑星全体の水の推定に大きな影響を及ぼす。火星隕石やアポロ、探査機はやぶさなどの宇宙帰還試料は、量が限られるために地球の吸着水の影響を避けることが難しく、惑星内部を再現する高圧実験試料は、水を大量に取り込むガラスなどが調査対象のすぐ傍にあるために水の定量を行うのは非常に困難であった。本研究では、固体物質表面の水素同位体分布を可視化する同位体顕微鏡を改良し、同一視野内に含まれる多量の水素と極微量な水素を同時に高精細にイメージング可能なシステムを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究で開発している選択的画素リセット動作機構の基本的な機能を同位体顕微鏡システムに実装し、実際の隕石試料を分析して動作確認を行った。 動作試験として、隕石中の難揮発性包有物について、スピネル、アノーサイト、ファッサイト、メリライトなどの局所的な元素存在度の差が大きい鉱物が同一視野内に混在する100ミクロン程度の領域のマグネシウムおよびアルミニウム同位体のイメージを取得した。取得したイメージから、リセットする画素としない画素を信号強度の閾値を指定して判別し、FPGAコードを自動生成してマップ化した。生成したマップを元に、強い信号が入射する画素は5秒おきにリセットし、その他はリセットせずに信号を蓄積し続けた。強い信号強度の画素をリセットしない場合は1分程度で飽和レベルに達して分析できなくなる所を、6時間以上にわたって分析し続ける事ができた。最終的に、6桁以上に及ぶダイナミックレンジを持つイメージの取得に成功した。 本成果を国際学会14th International Symposium on Atomic Level Characterizations for New Materials and Devices '22にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度までに、本研究を達成するために開発すべき選択的画素リセット動作の基本的な開発要素である、二次元イオン検出器の選択的画素読み出し方式、可変的FPGAコードを含むソフトウェア群について予定通りに開発を完了することができた。さらに開発したシステムを運用している同位体顕微鏡に実装し、隕石の同位体イメージングを行って想定通りの動作を確認できた。結果をまとめ、国際学会にて口頭発表することができた。 本年度に実施予定の水素イメージングを行う火星隕石およびスタンダードについて、コロナ禍で来日が遅れていたが、申請書にある米国の共同研究者が試料を作成し、今夏、学生と共に本研究で開発したシステムを用いて分析予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、(1)昨年度までに同位体顕微鏡に実装した選択的画素リセット動作システムを用いて、隕石中の水素同位体イメージを取得する。試料には火星隕石を用いる。(2)得られた同位体イメージは試料表面のチャージング等の影響から、わずかにイオンイメージャ―上での位置が変化するため、画像処理ソフトウェアImageJを用いてイメージのずれ補正を自動的に行う画像処理シーケンスを開発する。(3)本研究で開発したイオンイメージング用の高ダイナミックレンジシステムについて論文にまとめ発表する。
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