研究課題
基盤研究(B)
火山の噴火予知研究では、地下のマグマや熱水系の分布を解明し、その時間的な変動を監視する観測が重要である。比抵抗はマグマや熱水や粘土鉱物の分布に敏感な物理量であり、地表での電磁波の観測から、地下の比抵抗分布やその時間変動を検知することができる。地下の比抵抗分布の時間的な変動を精密に監視するには、精密に制御された人工信号を利用する電磁場観測が必須である。本研究では、精密に制御された2系統の信号系列送信し、多数の受信機で常時取得することによって、革新的な精度で火山の3次元地下構造を常時モニターするシステムを開発する。草津白根火山でこの実証実験を行う。
精密に制御された周波数コム信号を用いた電磁探査観測システムを構築し、その実証実験を草津白根火山で行った。火山の南麓に送信ダイポールを設置し、5km離れた山頂域に電磁受信機を配置した。送信源は、東西および南北方向の2つの電流ダイポールであり、周波数0.02Hzから4.6Hzの範囲で、対数等間隔になるような周波数列からなるサイン波を送信した。ファンクションジェネレータをGPS信号で同期することで、送信信号を長時間に渡って高精度で繰り返し送信できることが可能となった。また、受信信号から、微弱な繰り返し信号成分を取り出すために、ノイズの逆数を重みとして使用したスタッキング法が有効であることがわかった。
火山噴火予測研究、特に水蒸気噴火の予測のために、流体や蒸気の分布に敏感な比抵抗構造をモニタリングすることは重要である。既存の自然信号を用いる方法では、不安定な信号強度や人工ノイズの混入によって常時モニター観測が困難であった。本研究では、精密に制御された信号を繰り返し送信することによって、小さなパワーの送信源でありながら、革新的な精度で電磁気観測が可能になることを示している。同時に複数の送信源から送信することも可能であり、受信信号からテンソル情報を引き出すことができることもメリットである。この観測手法は、火山活動モニタリングの新たな方法として、今後防災研究にも大きく貢献できる可能性がある。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 3件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (25件) (うち国際学会 11件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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