研究課題/領域番号 |
20H02004
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武井 康子 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (30323653)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 岩石非弾性 / 粒界滑り / 転位 / 粒界クラック / メルト / 地震波減衰 / 粒界 / 部分溶融 / 差応力 / クラック / 非弾性 / 裁荷速度 / 部分溶融岩 / 微少量メルト / プレメルティング / 地震波低速度域 / 変形 / 強制振動実験 / 有効封圧 |
研究開始時の研究の概要 |
上部マントルのマグマ発生域に存在しているメルトは0.1%以下の微少量であることが地球化学から見積もられている。この微少量メルトを地震学的に検出できるか否かを明らかにするには、微少量メルトを含む岩石試料の地震波周波数での力学物性を差応力下でその場測定する実験が必要である。なぜならメルトの存在で系の有効封圧が低下するため、差応力が粒界の状態を変え、地震波で検出可能な物性変化を生じる可能性があるからだ。本研究では岩石のアナログ物質を用いた独自の実験手法によりこれを実現する。実験結果は理論モデルとして定式化し、上部マントルや火山深部の地震波構造の解釈に不可欠となる岩石の物性モデルを提案する。
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研究成果の概要 |
様々な差応力下で多結晶体を変形し、低周波物性(非弾性)を強制振動実験によってその場観察できる新しい実験装置を開発した。低周波物性が重要なのは、地震波速度に影響を与える粒界状態に敏感なためである。岩石アナログ物質として有機物多結晶体を用いて実験を行い、高温の系では応力集中が十分早く緩和するため封圧がなくても粒界クラックの発生が抑制されることを示した。液相が有効封圧を低下させるという考え方は破壊理論に基づくものであり、本研究のような高温の系には単純には適用できないことがわかった。また、転位クリープ領域であっても転位よりも粒界滑りが非弾性の主要なメカニズムであることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
地震波による構造探査は、地球内部の状態を解像度良く調べることのできる手法である。しかし近年、高温の地球内部では地震波速度が岩石非弾性の影響を大きく受けることがわかり、非弾性の理解の遅れがネックとなって、得られた地震波構造の解釈が難しくなった。非弾性の理解が遅れている原因は、高温かつ低周波での岩石物性測定が技術的に困難で、実験データが少ないことにある。岩石アナログ物質を用いた実験は岩石より低温での実験を可能にするため、この困難を解決するために有効である。本研究は、新しい装置を開発して差応力下での非弾性測定を可能としたものである。手法の開発とその得られた結果には重要な学術的意義がある。
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