研究課題
基盤研究(B)
初期地球において太陽エネルギー粒子(SEP)の作用により模擬原始大気(窒素・二酸化炭素・水・微量のメタン)から一酸化二窒素およびアミノ酸等の生体関連有機物が生成すること,SEPにより大気中で生じたスピン偏極ミュオンがアミノ酸のエナンチオ過剰を生じる可能性を検証することを陽子線照射実験,ミュオン照射実験などにより検証し,SEPが惑星ハビタブル化に果たした役割を実験的に明らかにすることを目的とする。
初期地球上での化学進化における太陽高エネルギー粒子(SEP)の役割を,加速器を用いた実験により検証した。初期地球大気が強還元型ではなくCO2, CO, N2を主とするものだったとしても,SEPがCO, N2から十分な量のアミノ酸を生成しうることが示され,また,従来考えられていたようなStrecker合成のような平衡化学的な反応ではなく,新たな化学進化の道筋の存在も示唆された。さらに大気中で温室効果の高いN2Oを生成することにより初期地球の凍結を防いだ可能性も示された。SEPにより生じるスピン偏極ミュオンがアミノ酸の不斉に関わった可能性も示唆されたが,そのさらなる検証が今後の課題である。
生命の誕生に必要なアミノ酸などの有機物の生成の場としては地球大気と地球外環境が考えられているが,近年では初期地球大気は弱還元的で有機物生成に不利とされてきた。本研究では太陽フレアに由来する太陽高エネルギー粒子のエネルギーを考慮すれば,弱還元的な初期地球大気からも大量のアミノ酸生成が可能であったことを模擬実験により示した。この時の反応機構は従来広く考えられてきたストレッカー合成のような平衡反応ではないことも示され,新たな化学進化の道筋の探索の重要性が示唆された。
すべて 2024 2023 2022 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 4件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 11件) 学会発表 (99件) (うち国際学会 26件、 招待講演 20件) 図書 (8件)
Life
巻: 14 号: 1 ページ: 103-103
10.3390/life14010103
Viva Origino
巻: 52
巻: 13 号: 5 ページ: 1103-1103
10.3390/life13051103
Proceedings of SPIE
巻: 12327 ページ: 66-66
10.1117/12.2654536
Nature Reviews Chemistry
巻: 7 号: 9 ページ: 598-599
10.1038/s41570-023-00530-w
Astrobiology
巻: 23 号: 10 ページ: 1099-1117
10.1089/ast.2022.0148
Life Sciences in Space Research
巻: 34 ページ: 53-67
10.1016/j.lssr.2022.07.001
Space Science Reviews
巻: 218 号: 6 ページ: 49-49
10.1007/s11214-022-00920-4
International Journal of Astrobiology
巻: 21 号: 5 ページ: 329-351
10.1017/s1473550422000325
ACS Central Science
巻: 8 号: 12 ページ: 1664-1671
10.1021/acscentsci.2c00588
放射線化学
巻: 114 ページ: 3-11
第64回宇宙科学技術連合講演会講演集
巻: JSASS-2020
巻: 21 号: 12 ページ: 1479-1493
10.1089/ast.2021.0027
巻: 49 号: 2 ページ: 7
10.50968/vivaorigino.49_7
130008120530
巻: 21 号: 12 ページ: 1451-1460
10.1089/ast.2020.2426