研究課題/領域番号 |
20H02017
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
池原 実 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (90335919)
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研究分担者 |
井尻 暁 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (70374212)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 海綿骨針 / 酸素同位体 / 深海 / 古海洋学 / 北太平洋 / 酸素同位体比 / 珪質海綿骨針 / 四国海盆 / 古海洋 |
研究開始時の研究の概要 |
珪質海綿骨針の酸素同位体比を用いた新たな深海の古海洋プロキシ(古環境代理指標)を確立するための基礎研究と海底コアへの応用研究を実施する。北太平洋と極域海洋は炭酸塩の保存が悪いため、最強の古海洋プロキシである有孔虫の酸素同位体比が利用できないため古海洋研究が進んでいない。これを解決するため、深海にも堆積する珪質海綿骨針と海水の酸素同位体比を系統的に分析し温度依存性等を明らかにする。この手法を炭酸塩補償深度(CCD)以深の海底コアに適用し、これまで入手出来なかった深海の古環境変動情報を抽出し、巨大なデータ空白域である北太平洋における古海洋変動研究にブレークスルーをもたらす。
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研究実績の概要 |
地球深部探査船「ちきゅう」による表層科学掘削プログラムによって四国沖陸棚斜面において掘削されたコアC9037Bから分取した堆積物試料を用いて、一般的な水洗乾燥処理を行った後に実体顕微鏡下で抽出した底生有孔虫および浮遊性有孔虫を用いて、質量分析計IsoPrimeにて炭素・酸素同位体比を測定した。その結果、分析結果が得られた上部30mにおける有孔虫酸素同位体比の変動パターンが明らかとなり、深度約30m付近が最終氷期に相当し、コア上位に向けて最終融氷期と完新世に相当する変化を読み取ることが出来た。これらの結果は、別途実施した浮遊性有孔虫の放射性炭素年代測定の結果(3層準)とも整合的であり、C9037Bは最終氷期以降の古環境解析が可能であることが判明した。前年度に年代モデルを構築したトカラ海峡東方のコアTSK-1PCとあわせて珪質海綿骨針の抽出作業を継続して実施し、酸素同位体分析の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
表層堆積物に含まれる珪質海綿骨針および底生有孔虫の個体数が当初の想定よりも少ない試料が多く、分析試料の抽出に時間を要している。また、海綿骨針の酸素同位体分析のための前処理システム(高周波誘導加熱システム)の真空ポンプが故障し、新型コロナ禍の影響もあり修理に時間を要したため、海綿骨針の酸素同位体分析は次年度に先送りとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年2月に真空ポンプが復旧したため、前処理システムの再調整と予備実験を繰り返して本格的な試料の測定に備えてきた。今年度、東シナ海から採取された現生の海綿骨針の酸素同位体分析を実施し、試料採取海域の海水の基礎情報との対応関係を検討する。準備が完了している表層堆積物やコア試料から抽出した珪質海綿骨針および底生有孔虫の酸素同位体分析を順次進めてデータの蓄積を行った上で、海綿骨針の酸素同位体比が古海洋プロキシとして利用出来るかどうかを再検討するとともに、手法としてのメリットとデメリットを明らかにし、地球環境史学会などで成果を報告するとともに論文原稿をジャーナルに投稿する。
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