研究課題/領域番号 |
20H02030
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中谷 彰宏 大阪大学, 工学研究科, 教授 (50252606)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 変形体力学 / 計算力学 / 不安定性理論 / マルチスケール理論 / メタマテリアル |
研究開始時の研究の概要 |
微細な内部構造を有する材料システムの中で、予応力場と微視回転型不安定機構を内在する力学的メタマテリアルのミクロ現象とマクロ特性の関係を記述する粗視化計算力学解析法の定式化とその実証を行うことを目的とします。特に、付加製造技術による造形プロセスを念頭に、その機構設計だけでなく、造形中に力学環境を変化させることによって応力場を織り込んだ予応力設計法を新たに発明し、力学的不均一性と幾何学的なミクロ運動の束縛の両面から研究を行い、メタマテリアル創製のための計算機援用工学技術の礎を築きます。特性や機能を発現する微細構造を設計する手法にブレークスルーをもたらすことを目指してメカニズムを探究します。
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研究実績の概要 |
微細な内部構造を有する材料システムの中で、予応力場(能動的・積極的に導入する場の意味で、残留応力場とは区別してこう呼ぶ)と微視回転型不安定機構を内在する力学的メタマテリアルのミクロ現象とマクロ特性の関係を記述する粗視化計算力学解析法の定式化とその実証を行うことを目的としている。この目的を達成するために、周期的パターンを付与したキリガミ型の力学的メタマテリアルについて、ナノ構造シミュレーション、力学試験、両者の比較による妥当性確認に基づいた粗視化計算力学理論の構築、特徴を抽象化した格子モデルによる動力学特性について研究を進める。 2022年度までの研究において、さらに力学環境を変化させながら付加製造を行う過程の準備的実験を行なった。具体的には、3Dプリンタにおいてカットパターンを有する構造を造形し、この造形の途中で、物質付与をストップし、圧縮変形の拘束を与えたのちに、積層を継続する過程を実現した。圧縮変形の拘束を取り除いた後の成形後の構造体は層ごとに残留応力が分布する自己釣合い状態であることが予想され、局所回転により自発曲率が付与されていることがわかった。この曲率変化に伴う予応力の解放や再分配について理論的な試算により表現できることを明らかにした。理論的検討においては、境界面に質量流束を仮定し、物体内部に質量の生成項を取り入れた開放系固体力学の定式化を行い、移動境界を含む初期値境界値問題としての定式化を行なった。また、そのシミュレーションのため、まず液相と固相の相互作用を駆動力とする力学現象のフェーズフィールドモデルについて検討を行ない、解析コードの基本部分を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微視回転型不安定機構を内在する力学的メタマテリアルの造形過程と変形機構の解析のためのプロトタイプの作成と基礎理論の構築・基本となる解析コードの作成を行なった。またGPUワークステーションと、変形解析のための運動解析ソフトウェアを導入し、計算機シミュレーションと実験の基礎となるツールを整えた。
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今後の研究の推進方策 |
力学的メタマテリアル造形装置を用いて作成した様々なカットパターンを有する構造の面内回転・面外回転機構について、さらに力学環境を変化させながら付加製造を行う過程について研究を行う。また液相と固相の相互作用を駆動力とする力学現象のフェーズフィールドモデリングを発展させ、物質の付与と除去によって形成される予応力場の形成に関する開放固体系の動力学問題についての計算力学シミュレーションを行う。その結果をもとに、非適合性に起因する局所不安定性の粗視化モデルを基礎とし、予応力と基準配置の不均一性の生成過程を表現可能とする、一般化連続体力学理論を確立を目指す。
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