研究課題/領域番号 |
20H02050
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡田 晃 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (60263612)
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研究分担者 |
岡本 康寛 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (40304331)
北田 良二 崇城大学, 工学部, 教授 (60540276)
篠永 東吾 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 助教 (60748507)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
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キーワード | 放電加工 / 粉末混入加工液 / 金型 |
研究開始時の研究の概要 |
工業製品を構成する各部品は小型化.軽量化が求められているため,樹脂部品が多用され,これらの大量生産でのコスト低減のために金型による成形が一般に行われる.従って複雑微細形状の金型加工やその表面仕上げ,表面高機能化のための表面処理やコーティングが必要であるが,時間やコストを要する.本研究では金型の微細形状加工に応用される放電加工を用いて,形状加工,表面仕上げ,表面高機能化を連続して効率的に行うために,金型表面平滑化効果を持つ金属粉末,ならびに金型表面の耐食性や離型性を向上させる効果をもつ異なる粉末を加工液に混入して放電加工を行う,新しい表面仕上げ,高機能表面形成プロセスの確立を目指す.
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研究実績の概要 |
まず,油加工液内にシリコン粉末とクロム粉末を混入し,これまでに判明している適切なシリコン粉末混入濃度の条件を用いて表面粗さ約1.5μmRz以下の放電仕上げ面を作成し,その表面硬度をマイクロビッカース硬度計を用いて評価した.その結果,表面硬度が通常放電仕上げ面よりも向上することが判明した. 次に,その仕上げ面の耐食性を定量的に評価するため,電気化学測定システムを用いてアノード分極電流密度を測定した.その結果,ハイブリッド粉末混入放電仕上げ面は通常の放電仕上げ面よりもアノード分極電流密度が小さく,耐食性が向上することが判明した.この結果は,仕上げ面表面にち密な組織のクロム炭化物含有層が形成できるというこれまでの断面組織の評価結果と一致している. いっぽう,これまでの検討でクロム電極と超硬合金電極によるクロム,およびタングステン成分の含有が可能になったことから,この現象を利用した2層の傾斜組成を有する表面層形成について詳細に検討を行った.すなわち,クロム電極を用いてある程度厚いクロム炭化物含有層を形成した後に,超硬合金電極を用いた表面粗さの小さい炭化タングステン含有表面層の形成を試みた.クロムやタングステンの深さ方向の分布について詳細な検討を行ったところ,表面から徐々にWCの含有が減少する傾斜組成表面を形成できることに成功した. さらに,次年度において高機能放電加工仕上げ面と成形樹脂との離型性を定量的に評価するための,引張試験機を応用した離型性評価装置を設計して組み上げ,金型研削面を対象に基礎検討を行った.この装置を用いて来年度に異なる加工条件の放電加工面の樹脂剥離強度を測定し離形性を比較する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究分担者2名,および同研究室内学生のコロナ感染による研究室の活動休止で加工実験が行えない期間があり,実施予定の離形性試験装置の改良の作業が一部十分実施できなかった.未実施分については2023年度早期に実施する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2020~2022年度の本研究の遂行によって,放電加工条件や加工液へのクロム粉末混入濃度がクロム含有表面層の組成や層厚さに及ぼす影響を明らかにするとともに,その仕上げ加工面の表面層組織を調査分析し,結晶粒のち密なクロム炭化物含有層が形成できることを確認した.また,それに起因して表面硬度や耐食性が向上し,最適仕上げ加工条件下では金型としての高機能仕上げ面を形成できることが明らかとなった.一方,電極材質の加工面への含有現象を利用したクロム含有層形成も可能であること,クロム電極と超硬合金電極を連続して用いることで,加工面にこれら2つの成分の傾斜組成をもつ表面層の創成が可能であることが判明した. これらの成果を基に,2023年度はまず,傾斜組成を有する表面層の炭化タングステン層の材料構造,表面粗さ,表面硬度等について分析,測定を行い金型表面としての機能を評価する.次に,本放電仕上げ法で得られる放電仕上げ面の成形樹脂と離形性について検討を行う.2022年度に試作した,引張試験機を応用した成形樹脂との離型性を評価する装置の測定精度を向上するための改良や検討をはじめに行った後に,放電加工条件等によって加工面性状を変化させた放電仕上げ面の成形樹脂との離型性を定量的に評価,比較する.そして,放電加工面性状が離形性に及ぼす影響について体系的に検討を行い,離形性を含めた表面機能に優れた放電仕上げ面を得るための指針を明らかにする.
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