研究課題/領域番号 |
20H02056
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 伸太郎 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (50377826)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
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キーワード | ナノトライボロジー / ナノレオロジー / ポリマーブラシ / 水和潤滑 / トライボロジー / ゲル |
研究開始時の研究の概要 |
ナノメートルオーダの厚さのゲル薄膜コーティングにより,0.01オーダの低摩擦係数が実現される.これは水和潤滑のひとつとして知られているが,そのメカニズムは未解明である.摩擦係数が【摩擦力÷荷重】で定義されることからわかるように,低摩擦係数を実現するには【摩擦力≪耐荷重】という力学的異方性が必要であり,それが実現されるためにはゲル薄膜の内部に異方的な内部構造が存在するはずである.そこで本研究では,摩擦特性の計測と同時に膜の内部構造のその場観測を実現し,ナノ厚さゲル薄膜の水和潤滑メカニズムを明らかにする.
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研究成果の概要 |
ナ厚さゲル薄膜の潤滑メカニズム解明を目的として,nmオーダのせん断すき間を精密に計測・制御し,せん断力,荷重,接触面積を同時計測できるナノ摩擦計測法を確立した.ゲル薄膜にはグラフト重合したMPCポリマーを水和させたものを用いた.構築した計測法を用いて,ずり粘弾性と摩擦特性の同時計測を達成し,両者に密な相関があること,低摩擦が実現される二つのすき間領域が存在することを発見した.より詳細なメカニズムの解明に向けて,ナノ摩擦計測と同時に誘電緩和計測を実現する測定系を構築し,誘電緩和スペクトルの測定に成功した.またX線反射率測定により,摩擦特性と薄膜のナノ構造に相関があることを明らかにした.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は,ゲル薄膜を用いた新しい潤滑技術を確立するための学術的基盤となるものである.ゲル薄膜を構成する分子構造の最適設計により力学物性とナノ構造を制御できれば,従来技術では摩擦係数が0.1以上となる境界潤滑状態において,流体潤滑と同等の低摩擦係数0.01を実現できる可能性がある.この技術が確立されれば,機械システムの耐久性と省エネ性能を画期的に向上させることができる.
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