研究課題/領域番号 |
20H02066
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
齋藤 泉 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70798602)
|
研究分担者 |
渡邊 威 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30345946)
後藤 俊幸 慶應義塾大学, 自然科学研究教育センター(日吉), 訪問教授 (70162154)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 混相流 / 乱流変調 / 乱流統計理論 / 乱流・粒子間相互作用 / 雲乱流 / 大規模シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、火山噴火による鉱物ダストの分散や自動車エンジン内における液体燃料の燃焼など、工学や環境問題を含む様々な場面において重要な、微小な粒子群と周囲の流れ場の相互作用を解明することにある。粒子群と周囲の流れ場は、凝縮・蒸発や摩擦抵抗、熱輸送を通じて複雑に影響を及ぼしあっているが、これらの相互作用は(質量や運動量、熱などの)物理的な保存量の交換とみなすことで、確率微分方程式に基づく統一的でシンプルな理論解析を適用することができる。大規模数値シミュレーションの結果と組み合わせることで、乱流強度の変調や粒子群の輸送の特徴を解明する。
|
研究実績の概要 |
本年度はまず、ラグランジュ描像に基づく高シュミット数スカラー乱流シミュレーションの問題に取り組んだ。前年度の小規模計算の結果を土台とし、格子点数1024および2048の3乗の大規模シミュレーションを実施し、テイラー長レイノルズ数で最大約550の乱流を実現した。統計的平衡状態におけるスカラー分散スペクトルを調べたところ、高波数側には-1、低波数側には-5/3の傾きを示し、二つの傾きの境目はコルモゴロフ長で規格化した波数でおよそ0.04であった。-1と-5/3の傾きは、それぞれ乱流理論で予測されるバチェラースペクトル、オブコフ・コアシンスペクトルと整合的である。また二つの傾きの波数領域から評価された無次元定数も、先行研究の結果と整合的であった。更に、スカラー分散の輸送フラックスや3次混合構造関数からも、乱流理論の予測との整合性を確かめることができた。 次に、雲乱流環境内における過飽和度揺らぎのラグランジュ的自己相関時間に対する、雲粒の凝縮・蒸発による変調の影響を調査した。まず最も単純な状況として粒子が流体粒子として運動する場合を考え、格子点数128から512の3乗の比較的小規模な格子点数でパラメータスウィープ実験を行い、雲粒の凝縮・蒸発による過飽和度ゆらぎのラグランジュ的自己相関時間の変調について調査した。得られた変調の特徴は雲パラメタリゼーションのための統計モデルの予測と良く一致しており、統計モデルの妥当性を直接数値シミュレーションによって検証することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラグランジュ描像に基づくスカラー乱流シミュレーションについては、前年度に実施した小規模実験の結果をまとめ、査読付英文誌に投稿することができた。また大規模シミュレーションも予定通りに実施することができ、目標とする運動量慣性等を含む計算の準備ができた。また雲乱流環境中の過飽和度の自己相関時間の調査についても、粒子が流体粒子として運動する単純な場合の検証が完了し、目標とする運動量慣性や重力の影響の調査の準備ができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度の研究により得られた結果を土台として、粒子が運動量慣性や重力の影響を受ける場合の調査を進めていく。運動量慣性を特徴付けるパラメータであるストークス数や、重力による粒子の終端速度の大小によって、スカラー分散スペクトルや過飽和度揺らぎのラグランジュ的自己相関時間がどのように変化するかを調査する。
|