研究課題/領域番号 |
20H02068
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
後藤 晋 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (40321616)
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研究分担者 |
犬伏 正信 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 准教授 (20821698)
本告 遊太郎 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (20906911)
大槻 道夫 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (30456751)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 乱流 / 乱流変調 / 秩序構造 / 数値シミュレーション / 室内実験 / 高分子 / 界面活性剤 / 混相流 / 制御 / 添加物 |
研究開始時の研究の概要 |
添加物(剛体あるいは弾性体粒子、高分子、界面活性剤等)による乱流の促進や抑制の仕組みを統一的に解明することを目的とする。着眼点は、乱流中に普遍的に存在する秩序構造の階層である。つまり、秩序構造を制御すれば乱流を制御できると考え、これを立証するための混相乱流の数値シミュレーションと室内実験を複数の異なる境界条件下で実行するとともに、粗視化分子動力学法により分子の添加が乱流の秩序構造に影響を与える仕組みも明らかにする。研究の最終目標は、添加物による乱流制御の明確な指針を示すとともに、得られた知見を基に添加物を含む乱流の連続体シミュレーションを可能とする理論体系を構築することである。
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研究実績の概要 |
数値シミュレーション研究(S)に関しては、概ね計画通りに研究を進めることができた。(S1)剛体球形粒子の添加による周期境界条件下の乱流の変調現象に関して、大規模数値シミュレーションによるパラメタサーベイの結果および、それに基づく理論をまとめた論文を出版した。また、同様の考えを平行平板間乱流へと適用する研究も推し進めた。さらに、球形以外の剛体粒子が乱流変調に与える影響についての研究にも着手した。(S2)弾性体粒子が渦中心に集積する現象を説明する理論を提案した。(S3)高分子や界面活性剤の添加による乱流変調現象に関しては、ミクロ描像およびマクロ描像の双方から研究を進めた。まず、前者に関しては、散逸動力学法(粗視化分子動力学)による数値シミュレーションを実行し、最長緩和時間やせん断流に対する配向に関する界面活性剤ミセルと高分子との相違点を明らかにした。一方、マクロ描像からは、構成則を用いた連続体シミュレーションおよび、ブラウン動力学法による数値シミュレーションを進めた。その結果、乱流変調現象の物理機構の理解に近づいている。室内実験研究(E)に関しては、ようやく軌道に乗り始めた。(E1)界面活性剤や高分子の添加による乱流変調現象に関する実験研究のプラットフォームとして、直方体容器内で4本の平行な円柱を互い違いの方向に回転する装置を完成させ、界面活性剤や高分子の添加による乱流変調現象を実験的に捉えることが可能となった。(E2)回流水槽を用いた実験プラットフォームを構築する過程で、自由界面近傍に置かれた物体に作用する力に関する新たな現象を発見した。これは添加物による制御とは直接は関係しないが、流れの制御の観点から興味深い発見であり、現在、さらなる解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、とくに数値シミュレーション研究に関しては計画通りに進捗している。これは各種の数値シミュレーションプログラムが完成したことや、富岳やプラズマシミュレータ(自然科学研究機構)等の計算機資源が十分に確保できたことに加えて、得られたデータに基づいて十分な理論的な考察ができたことによる。一方、実験研究に関しては、当初の予定通りにはいかない事項(回流水槽が清掃の観点から添加物を使いにくい点など)があったが、新たな代替装置も完成したので、今後は研究を加速したい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の遂行を通じて、添加物による乱流変調に限らず、混相流の興味深い現象をいくつも発見することができた。これらに関して今後も数値シミュレーションを用いた研究を推進するための環境は整っている。一方で、数値シミュレーション結果の検証や新たな現象の発見の観点から室内実験が極めて重要であることを強く認識した。室内実験環境をさらに整えるとともに、人的な資源の確保も喫緊の課題である。
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