研究課題/領域番号 |
20H02069
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
望月 信介 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70190957)
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研究分担者 |
鈴木 博貴 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (10626873)
亀田 孝嗣 近畿大学, 工学部, 教授 (70304491)
伊藤 萌奈美 (笹森萌奈美) 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (80836065)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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キーワード | 摩擦抵抗低減 / リブレット / 壁面せん断応力 / 直接測定 / 壁法則 / 抵抗低減 / 直悦測定 / 境界層 / 炭酸ガス排出低減 / 流体摩擦抵抗低減 / 乱流境界層 / 乱流制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、学術的観点においては壁乱流の構造解明、工学的観点においては壁面せん断応力測定の高度化、実環境下における壁面摩擦抵抗低減にある。期待される成果は以下3点である。 1.圧力勾配下の境界層において、リブレットの摩擦抵抗低減率を2桁精度で確認できる壁面せん断応力直接測定装置の開発 2.圧力勾配下にある実条件下に設置されたリブレット面上において壁面せん断応力の計測を実施し、摩擦抵抗低減率の確認と普遍的壁法則を導出 3.乱流境界層の壁面せん断応力計測装置の精度向上と汎用化、実用的条件下におけるリブレットの摩擦抵抗低減率の高精度な評価および非滑面上の壁乱流における構造解明と普遍的壁法則の提案
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研究実績の概要 |
本研究は乱流境界層の局所壁面せん断応力を世界で最も高い精度で計測可能な直接測定装置を開発し、リブレットによる摩擦抵抗低減効果の定量的確認と普遍的壁法則を提案することが目的である。研究開始初年度において、減衰装置を必要としないフォースセンサーを用いた測定装置の開発に成功した。また、熱線流速計を用いた速度計測が可能であることを確認した。しかしながら、リブレットへの応用を考慮すると測定面が矩形である必要があること、風洞における使用において機械的振動により高速流における高精度計測が困難であること、熱線流速計における計測において気流温度の上昇がデータ取得の障害になることが課題として明らかになった。 リブレットへの応用について、矩形摩擦面を持つ装置への設計変更を行った。風洞の振動対策については、フォースセンサーへの振動伝達の抑制と風洞における振動の抑制を行った。熱線流速計における計測については、気流温度を記録し、高次の校正および温度補正を試みた。 これらの対策により、主流速64m/sにおける矩形摩擦面を用いた壁面せん断応力の計測に成功し、従来型リブレットの抵抗低減率を確認することができた。また、速度分布において対数速度分布の成立とリブレットによる抵抗低減効果を確認することができた。 一方、リブレットフィルムの固定がやや不安定であり、長時間の実験が困難であることが課題として残った。また、熱線流速計の計測においても、壁近傍における測定値に対する気流温度上昇の影響除去が不十分であることが指摘される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
装置の設計変更に困難が予想されたが、機械加工専門家の助言を得たことで短期間に実現できた。リブレットフィルムの調達に困難が予想されたが、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究分担者とそのグループの支援により、十分なリブレットフィルムの使用が許可され、実験が実現できた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度に2回の風洞実験を計画している。初回はリブレットフィルムの固定方法と熱線流速計における校正方法について、改善した方法を試みる。現在のリブレットフィルムは壁面への付着が不十分で、気流による摩擦と温度上昇により浮き上がりが生じてしまう。付着力が強く、熱膨張が少ない素材による両面テープなどを用いてリブレットフィルムの固定を行う。熱線流速計における計測については、噴流を用いた実験により得た校正式を試みる。これは山口大学の実験室において、高速の噴流を実現し、実験データに基づき従来の較正曲線を改良したもので、壁近くの低速領域の精度向上が期待される。 2回目の風洞実験においては、リブレットにおける普遍的壁法則の提案に関する実験を行う。リブレットにおいては粘性底層の厚みの変化が報告されているため、そのモデル化を試みる。粘性底層厚さの変化は底層内の乱流の不安定性に起因するものと推測され、統計量に着目する。van Dykeなどが提案する減衰関数を参考に、乱れエネルギースペクトル、相関関数などを調査し、普遍的壁法則の提案に結びつける予定である。
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