研究課題/領域番号 |
20H02083
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
齊藤 卓志 東京工業大学, 工学院, 准教授 (20302937)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
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キーワード | 界面熱抵抗 / 高分子材料 / 分子動力学シミュレーション / 界面層厚さ / 積層構造 / 断熱材 / 親和性 / 非相溶 / 相構造 / 分子動力学 / 熱拡散率 |
研究開始時の研究の概要 |
エネルギー供給過程で一次エネルギーの約6割が有効利用されずに未利用熱となっている現状から,熱の3R(Reduce,Reuse,Recycle)に対する要求は高い.中でも,熱エネルギーの散逸を減らすためには,工業的に導入が容易な手法による断熱技術の革新が必要となる.そこで本研究では,異種材料の界面における熱抵抗に着目し,多数の界面を導入することで高い熱抵抗を得るという新しい発想による高分子材料系断熱材の開発を目指す.具体的には,積層構造を有する異種高分子材料の界面熱抵抗を実験的に評価した上で,分子動力学シミュレーションにより熱抵抗の発現メカニズムを考察することで,新しい断熱材の開発に役立てる.
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研究成果の概要 |
本研究では,異種高分子材料の界面に発現すると考えられる熱抵抗を定量評価することを目指した.得られる知見は,革新的な断熱材の開発に役立つと考えられる.界面熱抵抗値を定量化するアプローチとして,多層構造体を試作し実験的に測定する手法と,分子動力学法によるシミュレーションで推定する手法を採用した.実験的に界面熱抵抗を求めることは困難であったが,非平衡分子動力学法の計算結果からは,採用したPS/PMMA系において1.1xE-8 m2K/W程度の界面熱抵抗が生じると示された.また,界面熱抵抗は材料中の自由体積に影響されることが推測され,界面層厚さによっても熱抵抗の値が変化することが示された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
マクロスケールにおける界面熱抵抗は,材料の表面粗さによる空気層の介在が原因とされるが,近年のマイクロ・ナノ領域における熱移動現象の研究進展により,例えばシリコン等の結晶性材料と非晶質な高分子材料の界面において熱振動伝播の散乱が生じ,熱抵抗が発現することが報告されている.金属材料や高分子材料,あるいはセラミックス材料の組み合わせにおける界面熱抵抗の議論はこれまでにもあったが,モノマー種の違いによる高分子材料同士の界面熱抵抗に関する議論は本研究が初めてである.また,本研究により得られた知見は,新しいアプローチでの高分子系断熱材の開発につながる可能性があり,熱の有効利用に役立てられると考えられる.
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