研究課題/領域番号 |
20H02088
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高田 保之 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 特任教授 (70171444)
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研究分担者 |
津田 伸一 九州大学, 工学研究院, 准教授 (00466244)
高橋 厚史 九州大学, 工学研究院, 教授 (10243924)
Shen Biao 筑波大学, システム情報系, 助教 (80730811)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2020年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | 沸騰開始点 / 濡れ性 / 表面構造 / 分子動力学 |
研究開始時の研究の概要 |
沸騰開始点に関する知見は非常に乏しく,電子機器の冷却等では沸騰の初動時の安定性が重要である.本研究では,伝熱面の濡れ性と微細構造を緻密に制御することで沸騰開始過熱度(ONB)の大幅な低減化を目指す.水以外の作動流体への拡張を図るため,濡れ性を制御する化学物質と発泡に適した微細構造を分子動力学(MD)計算により予見するとともに,TEM/AFM等の微視的観察手法と沸騰試験を組み合わせることで沸騰開始点決定の全体像を初めて明らかにする.最終的には,種々の流体に適用可能な高性能沸騰伝熱面を設計するための階層型表面科学的方法論を確立する.
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研究実績の概要 |
(1)新規表面開発と沸騰伝熱試験 本年度は流体をエタノールに加えてHFE7100を追加して沸騰試験を行った.アルミニウム伝熱面にリン酸アルマイト処理を施し,表面に微細構造を形成させたところ,HFE7100についても熱伝達率が3倍以上に向上することが確認された.ただし,エタノールで効果が認められたHNTコーティングはHFE7100では溶解してしまうため適用できないことが分かった.そこで,アルマイト処理を工夫してリエントラント構造を作製し,沸騰開始の低減を目指すこととなった.現時点でリエントラント構造の効果をある程度確認できているので,次年度に定量的な評価を実施する. (2)ナノ空間での気液界面および相変化の実験的研究 昨年度に引き続きAFMおよびTEMを駆使して水および気泡のナノスケールでの相変化現象の観察を実施中である. (3)発泡現象の分子動力学シミュレーション 発砲現象の物理機構の解明と発泡に最適な表面構造の探索を行うための分子動力学シミュレーションを実施中である.成果の取りまとめは最終年度に行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題は毎年度繰り越し手続きを実施してきたが,リエントラントキャビティ構造を有する伝熱面の開発に成功し,効果の確認試験を令和4年度後半に集中して実施することができた.詳細な分析は残っているが,当初の目標は概ね達成しつつある.
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今後の研究の推進方策 |
(1) 新規表面開発と沸騰伝熱試験 必要な実験データは令和4年度末までに概ね収集することができたので,令和5年度は実験データの分析と成果の公表に注力する.必要に応じて追加の実験等も実施する予定である.国際沸騰凝縮伝熱会議(ICBCHT2023)や第60回日本伝熱シンポジウムなどの影響力の大きい研究集会での発表を予定している. (2) ナノ空間での気液界面および相変化の実験的研究 TEMおよびAFMを駆使して三相界線の挙動の観察を実施する. (3) 発砲現象の分子動力学シミュレーション フッ素系高分子で修飾された低エネルギー表面における気泡核形成過程を継続的に調べる.
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