研究課題/領域番号 |
20H02091
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
迫田 直也 九州大学, 工学研究院, 准教授 (30532337)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 水素 / 混合流体 / 熱物性 / 精密計測 |
研究開始時の研究の概要 |
臨界曲線が高圧域へ発散し,純物質の性質とは全く異なるType IIIの水素 + 二酸化炭素の2成分系に第3成分を追加し,Type III + 第3成分系の熱力学状態曲面について,PVT性質,気液平衡および臨界点の各装置を開発するとともに,精密測定を行って明らかにする.また,臨界点測定に関しては,試料容器内に直接センサプローブを設置した測定手法を試みる.本研究ではさらに最新の高精度状態方程式において,複数臨界点が存在する可能性のある3成分系への適用可能性について,計算アルゴリズムの確立とともに検証を行う.
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研究実績の概要 |
水素を含む混合系のPVTx性質ならびに飽和密度の高精度測定を試みるにあたり,計測システムの改良を行った.これまで,試料圧力容器ならびに可視化窓の付いた気液平衡セルに試料が充填され,これらを恒温槽内に設置するも,圧力センサは恒温槽の外に設置していた.しかし,その場合,容器内の試料温度と圧力センサ内の試料温度に差異が生じてしまうため,専用のケースを開発し,圧力センサを封入して恒温槽内に設置することで,測定時,全ての試料の温度を均一にした.0.725モル組成 水素 + 0.275モル組成 二酸化炭素の2成分系混合流体のPVTx性質を温度範囲283~313 K,圧力5 MPaまでの範囲で測定したところ,当該領域においては,既存の状態方程式は得られた実測値と0.2 %の密度偏差で一致していた.さらに0.124モル組成 水素 + 0.876モル組成 二酸化炭素の混合系を密度170 kg/m3で気液平衡セルに充填し,恒温槽内に設置して昇温,気液のメニスカスが消滅した飽和温度を測定した.円筒形状を有する気液平衡セルは容器内側においてメニスカスが奥行き方向の中央で消滅するように,中心の径が最も大きくなる工夫が施されている.飽和温度において,既存の状態方程式は本実測値と0.2 K以内で一致した.また,振動細線を用いた粘性係数測定では,共鳴曲線を取得し,粘性係数のデータを得た.さらに,本研究では新たに液体恒温槽を導入した.本恒温槽は内槽が大きく容器仕様の自由度を大きくとれる.また,恒温槽の手前と奥の両方に窓ガラスが取り付けられているため,圧力容器内の試料の状態ならびにメニスカスや臨界タンパク光をより明確に観察可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水素混合系の測定においては,組成の決定が非常に困難であったが,0.1 mg分解能の電子天秤を用いた重量法による試料の調整および計測が高い精度で行えるようになった.そしてPVTx性質や飽和密度測定に関していくつかの改良および検証を踏まえ概ね測定方法が確立された.飽和密度測定はメニスカスの消滅を目視により決定することが最も精度が高いとされる.しかし,特に臨界点近傍においては,メニスカスの消滅は判断が非常に難しく,豊富な経験を必要とする.本研究では,データの取得を進めるとともに,目視によるメニスカス消滅の判定基準を確立する.
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今後の研究の推進方策 |
臨界点近傍におけるメニスカスの消滅の判断は非常に困難なことから,振動細線を用いた粘性係数測定法を応用して,容器内に細線を設置し,メニスカスの消滅を信号で捉える方法を試みる.永久磁石の間に設置した振動細線に交流電圧を印加することで,共鳴曲線の取得が可能であり,可視化による測定との併用を目指した圧力容器の開発を進める.また,得られた実測値をもとに,状態方程式を用いた水素混合系の状態曲面の熱力学的な解析を実施する.
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