研究課題/領域番号 |
20H02101
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
谷口 朋代 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (90346370)
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研究分担者 |
畑山 健 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター), その他部局等, その他 (00358798)
吉田 祐一 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター), その他部局等, 研究員(移行) (70868661)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | バルジングーロッキング相互作用 / 簡易底板浮上り算定式 / バネ-質点-剛体連成モデル / ロッキング-バルジング相互作用 / 底板の浮上り高さと範囲 / 浮上り開始に寄与する内容液 / ロッキング復元機構 / 内容液の回転慣性力 / 角加速度 / 平底円筒貯槽のロッキングの復元機構 / 底板浮上り / 簡易応答解析 |
研究開始時の研究の概要 |
原油やLNG等を貯蔵するアンカーの無い平底円筒貯槽(以下、タンク)は、水平地震動による転倒モーメントに伴うタンク側板の引張力により、タンク底板が三日月状に浮上るため、側板-底板溶接部近傍(以下、隅角部)が損傷して、貯液が流出する危険性がある。そこで、1) タンク底板の浮上り高さや範囲の簡易計算法、2) 隅角部の応力計算法、を構築する。簡易計算法による浮上り量は、陽解法に基づくFEM解析の数値解、小型模型タンクを用いた加振実験結果と比較して、その算定精度を検証する。また、隅角部の応力計算結果は、対応する動液圧、静液圧や自重を載荷した静的FEM解析の結果と比較して、その算定精度を検証する。
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研究実績の概要 |
前年度に、研究代表者らは、タンクの浮上り応答に寄与する内容液の有効質量が剛体的に回転した時に生じる回転慣性モーメントが、タンクの浮上りの復元機構の主たる機構であることを明らかにした。 そこで今年度は、この機構と従来より知られているバネ-質点系で表される水平地震動に対する並進応答系とを組み合わせたバネ-質点-剛体連成系モデルに、底板の変形状態を解析するモデルを組み合わせて、タンクの底板浮上り高さを時刻歴で解析するプログラムを作成した。その特徴は、底板の変形状態に応じて、タンクの浮上り応答に寄与する内容液の有効質量などを随時更新して、回転応答と並進応答の相互作用を考慮してタンクの底板浮上り高さを時刻歴で解析することである。 作成したプログラムの解析精度を検証する為に、1) 三次元FEM動的解析(直径51m、容量6万kLのLNGタンク)による計算結果、2) 浮上り量の計測記録(平成30年北海道胆振東部地震)との比較を行った。更に、内容液の回転慣性力を考慮しない既往の計算手法(例えば、Yuan et al. (2004)やEurocode8など)の計算結果とも比較した。その結果、既往の計算手法よりも提案手法の方が比較的精度よく浮上り量が計算できることを示した。しかし、小型のタンクについては浮上り量がうまく計算できない場合があることや、計算時間が長いといった問題点も見つかり、今後改善する予定である。 次に、タンクの浮上り開始に寄与する内容液の存在を振動実験で明らかにし、それを定量化する実験式を作成した。尚、当該内容液がタンクの浮上り応答に及ぼす影響や実験式の精度については、今後の課題である。 最後に、平底円筒液体貯槽の地震時底板浮上りに係わる耐震設計基準に示される設計手法の問題点について調査した(例えば、API650 Annex EやEurocode 8、容器構造設計指針)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
底板浮上り高さを時刻歴で解析する手法を開発し、それが三次元FEM動的解析結果や実際の地震時に計測された底板浮上り量の記録を、既往の計算手法よりも比較的精度よく計算できることを示したから。更に、これまでに知られていないタンクの浮上り開始に寄与する内容液の存在を振動実験で明らかにし、それを定量化する実験式を作成したから。
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今後の研究の推進方策 |
1.タンク模型(直径1.25m、容量2kLの水タンク)の水平加振実験を行い、底板浮上り量や側板下部の応力などを時刻歴で計測し、提案手法の解析精度の検証に用いる。そして、提案手法の改善点を探し、必要な修正を行う。 2.消防法告示第79条(保有水平耐力等の計算方法)の詳細な調査を行い、研究代表者らが提案しているバネ-質点-剛体連成系モデルが示唆する応答との類似点、相違点について考察する。 3.D’Amicoら(2017)の方法に、底板変形計算式を組み合わせて、底板浮上り量の簡易算定法を開発する。 4.隅角部の応力算定法の検討(既往の方法の調査、Beamモデルによる検討など)を実施し、隅角部の安全性照査法を提案する。
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