研究課題/領域番号 |
20H02116
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
東森 充 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30346522)
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研究分担者 |
堀 一浩 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70379080)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | 柔軟物マニピュレーション / テクスチャーセンシング / ソフトロボティクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,ヒトの食塊形成およびテクスチャー(食感)評価といった咀嚼機能の工学的理解と再現に向け,咀嚼ロボットシミュレーション手法を確立する.咀嚼過程におけるヒトの歯および舌の運動特性を実測,解析し,ロボットの機構・動作設計のための歯・舌運動モデルを作成する.歯舌両有型ロボットシミュレータを設計開発し,人工咀嚼,すなわち歯・舌-食品といった柔剛複合系の相互作用を介した食塊形成マニピュレーションを実現する.深層学習を用いて食塊形成過程の時空間力覚情報に基づくテクスチャー推定モデルを構築する.
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研究実績の概要 |
本研究は,ヒトの食塊形成およびテクスチャー(食感)評価といった咀嚼機能の工学的理解と再現に向け,咀嚼ロボットシミュレーション手法を確立することを目指している.このために,①口腔内用モーションキャプチャを用いて,咀嚼過程におけるヒトの歯および舌の運動特性を実測,解析し,ロボットの機構・動作設計のための歯・舌運動モデルを作成する.②歯舌両有型ロボットシミュレータを設計開発し,人工咀嚼,すなわち歯・舌-食品といった柔剛複合系の相互作用を介した食塊形成マニピュレーションを実現する.③深層学習を用いて食塊形成過程の時空間力覚情報に基づくテクスチャー推定モデルを構築する.本年度は,②について,前年度に引き続き,歯の機能を中心とした咀嚼システムと舌単体の機能に特化したシステムとに分離して開発と検証実験を進めた.歯の機能を中心としたシステムにおいては,3つの食塊形成プリミティブ[粉砕][混合][まとめ]動作を設計し,適切な配列の下でシーケンシャルに実行することでヒトの食塊形成過程を再現できる可能性を示した.ヒト食塊の画像を用いて食塊評価CNNモデルを作成し,ロボット食塊のヒト食塊再現性を定量的に評価する基礎的手法を検討した.一方,舌単体の機能に特化したシステムにおいては,マルチチャンバ式舌型空圧ソフトアクチュエータを開発した.内圧条件に対するアクチュエータ表面形状の解析モデルを導入し,8チャンバによるプロトタイプを製作した.次に,①としてヒトの舌式咀嚼過程の舌形状データを測定し,これに基づきアクチュエータの目標表面形状パターンを生成した.目標パターンの再現性により,変形性能と舌式咀嚼の実現性について検証した.また,③について,力覚と視覚のマルチモーダル深層学習モデルの検討を開始した.さらに,歯・舌両有型エンドエフェクタによる食品操作から着想を得た新奇マニピュレーション手法の検討も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯による咬断・臼磨動作を実現するシステム,ならびに,舌による押し潰し咀嚼を実現するシステムのいずれも,試作と実験が順調に進んでおり,ヒトの口腔部データや食塊データとの比較検証も新たな評価手法の構築を含め順調に進んでいるものと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き,歯の機能を中心とした咀嚼の理解・再現のためのシステム(通常咀嚼=咬断と臼磨による粉砕を用いた咀嚼,および,舌による粉砕片の押し潰し圧縮)と舌単体の機能の理解・再現に特化したシステム(舌式咀嚼=舌による押し潰しのみによる粉砕を用いた咀嚼)とを平行して開発する.歯を中心とした咀嚼システムについては,前年度に定義・設計した咀嚼ロボットの3つのプリミティブ[粉砕]歯による咬断・臼磨といったゲル状食品の粉砕挙動,[混合]舌による砕片群の混合挙動,[まとめ]砕片群を歯の上に再配置するまとめ挙動の最適化を行う.特に,前年度のヒト実験およびロボット実験にて,食塊形成を実現するためのキーは[まとめ]プリミティブであることが明らかになっており,このためのヒト解析とエンドエフェクタ動作設計を重点的に実施する.以上の最適化を完了後,咀嚼ロボットシミュレータを用いてゲル状食品の咀嚼実験を行い,その効果を評価する.ここでは,ロボットの咀嚼による食塊を撮影して視覚画像を取得し,畳み込みニューラルネットワークを用いて,ヒトの咀嚼による食塊との類似度を評価する.また,圧力分布センサを用いて食塊圧縮時の圧力分布画像を取得し,同様に,畳み込みニューラルネットワークを用いて,ヒトの咀嚼における圧力分布画像との類似度を評価する.さらには,視覚と力覚のマルチモーダル学習によるテクスチャー推定モデルを構築し,食塊形成過程の時空間情報において,いつどこのデータが重要であるかを明らかにする.一方,舌単体の咀嚼システムについては,前年度に導入したマルチチャンバ搭載型舌型空圧ソフトアクチュエータの設計・開発を進め,アクチュエータ構造の理論的設計手法を検討した上で,プロトタイプを再製作し,ゲルの押し潰し実験を実施する.この過程における食塊データからテクスチャーに関する情報が取得できるかについて検証する.
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