研究課題/領域番号 |
20H02140
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
岩田 晋弥 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (10642382)
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研究分担者 |
木谷 亮太 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (90761619)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
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キーワード | 絶縁劣化 / 電気トリー / 量子化学計算 / 分子動力学計算 / 有限要素解析 / エネルギー解放率 / 部分放電 / 深層学習 / 絶縁破壊 / 水トリー / 空間電荷 / 電流積分電荷法 |
研究開始時の研究の概要 |
電気絶縁材料は電力インフラを支える重要な要素であるが、その劣化プロセスは未解明な点が多い。本研究では、絶縁材料への電荷蓄積から破壊(電気トリーや水トリー)の進展に至るまでを研究対象とし、幅広い空間スケールで絶縁劣化現象の物理化学的背景を明らかにする。絶縁材料内部への電荷の蓄積や移動現象に着目し、空間電荷の解析、量子化学計算、分子動力学計算などを通して、劣化プロセスの初期過程における電荷と分子間・分子内結合の役割を究明する。また、高輝度放射光を利用したX線コンピュータ断層撮影と計算機シミュレーションによる劣化形態の観察、解析および分光学的評価手法などにより、破壊の進展プロセスを解明する。
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研究成果の概要 |
本研究は、高分子電気絶縁材を対象とし、絶縁劣化、絶縁破壊およびその抑制の解明とシミュレーション手法の構築を主たる目的とした。主に下記の成果が得られた。(1)量子化学計算により原子間結合の開裂力を評価し、酸化による結合力の低下が確認された。(2)分子動力学計算によるポリエチレン架橋剤分解残渣および水の動的特性の評価方法を構築し、提案モデルを検証した。(3)有限要素解析による電気トリーのエネルギー解放率の計算方法を確立した。(4)機械学習、深層学習を活用した位相分解部分放電信号の分類に成功した。(5)電流積分電荷法による電荷の移動モデルを構築した。得られた成果は、学術論文誌を中心に情報発信した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
電気絶縁材料は、電力インフラを支える重要な要素のひとつであり、その劣化や破壊の原理解明は、電力の安定供給の観点から不可欠である。本研究は、計算機シミュレーションを積極的に利用し、絶縁劣化の要因や原理を異なるサイズスケールで評価、検証した点において学術的意義がある。また、電気トリー進展の解析においては、有限要素解析によるエネルギー解放率を導出した。これは電気的破壊と機械的破壊の境界領域を扱い、新規性・独自性が大きい。さらに、電力設備の安定的な運用や高経年化への対策においては、部分放電や微小電流の計測と解析が肝要である。本研究は、その解析精度向上に資する基礎的成果を得ており、社会的意義も大きい。
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